淡路島 諭鶴羽山 (黒岩水仙郷、新年会・総会)山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・Ⅱ」登山クラブ

山行記録

淡路島諭鶴羽山山行記録

20161月17日(日) 曇り
 今回は新年会と総会もまとめて実施するということで手軽に登れる淡路島の最高峰、諭鶴羽(ゆづるは)山(607.9m)の山行となった。またこの時期近くの黒岩の海岸傾斜地に群生する水仙も見ようと欲張ったものとなった。
 古事記や日本書記の国生み神話でイザナギの命とイザナミの命が産んだ島が淡路島でその後、四国、隠岐島、九州、佐渡、壱岐その後に大秋津島、現在の本州が生まれている。このように淡路島は古くから伝説に富んだ島である。

 正月過ぎというわけか毎土日宝塚付近で起こるひどい渋滞は無く、滋賀県勢は予定より50分以上早く、そして大阪勢もスムーズに走り予定よりも25分ほど早く着けた。

 明石海峡大橋を渡り海峡や橋を望むSAで休憩した後、西淡三原ICで下道に入り、黒岩水仙郷へ向かう。海岸の道からは沖に沼島(ぬしま)が見えている。記紀の国産み神話では淡路島が生まれる前に間違って生じたオノゴロ(またはオノコロ)島とも言われている島である。
 水仙郷は駐車場が狭いため東1kmに臨時駐車場がありここからシャトルバスで水仙郷まで往復した。
 水仙の群生地は斜度45度あまりの山肌で、海を見降ろし如何にも温暖な感じがいいが今日は陽は射してはいるものの海からの風は冷たかった。花は例年よりも少なめであった。どうもどこでも水仙は裏年らしい。

 
黒岩水仙郷で盛んに咲いていたダイキンギク(キク科)
暖帯の海岸山地の斜面に群生し、冬花を咲かせる 
  黒岩水仙郷の斜面 
     
左の島が沼島    水仙 

 時間を考えると、黒岩集落から諭鶴羽山まで、徒歩で標高差600mを往復するのはとても無理ということで、車で山頂手前の諭鶴羽神社まで向かう。黒岩集落の「諭鶴羽山登山口」の標識を横目に見て過ぎて小学校入口への細い道に入る。どの曲がりにも「諭鶴羽神社」の小さな標識がつけられていて道は間違いないもののとにかく狭い路で、曲がりも150度以上のヘアピンが続き、エスティマでは一度は切返ししないと曲がれなかったり、垣根の枝葉が車体スレスレということもあった。対向車があったらまずアウト。カーブスペースでも対向車を交わすのは至難の技としか言いようない中盤を過ぎると路は相変わらず細いものの側面の石垣なども無くなり、登りもカーブも緩やかになった。
 やがて神社の広い駐車場に着く。車が4、5台停まっていて登山者も20名近くいた。どうも別な路を通って来たらしい。
 古くからの伝説を有し、修験道で栄えた歴史もあるこの諭鶴羽神社の主神はイザナギの命で、社殿は何棟からなり立派である。淡路島全島だけでなく本州、四国からもお参りする人が多いらしい。そして面白いことにこの神社のお参りはこの時期が最も多いらしく、山開きはなぜか11月下旬の新嘗祭に合わせている。暖かなところらしく、冬もオフシーズンにはならず、暑い夏の参拝者がゼロに近いと神職さんが語ってくれた。
 黒岩から神社までが表参道で、山頂へは左側の裏参道を登る。山頂から北西側の諭鶴羽ダムまたは牛内ダムまでは裏参道で、表裏合わせて、諭鶴羽古道というらしい。その浦参道の入口には暖帯照葉樹林の代表的樹木であるタブノキとアカガシの大木が立っていて、幹と言わず小枝までそれぞれキヅタとツルマサキが絡み、覆ってつくしていた。
 山頂までは500m、わずかな距離であるが特にアカガシの森は直径1m近い巨樹から比較的若い樹までびっしりと茂っている。陽も通さないような森で、凄みと言うか神域として守られてきた森の畏れが感じられた。アカガシは里でも奥山でも珍しいが、兵庫県はこのアカガシの森を天然記念物に指定している。他にもスダジイやヒメシヤラ等も育ち、灌木では諭鶴羽神社の神木、ユズリハをはじめシキミなとこれも暖帯林、照葉樹林特有のものが生えふけっていた。

   
諭鶴羽神社    境内のアカガシの巨木 
     
キヅタ(ウコギ科)にすっかり絡まれたタブノキ(クスノキ科)の木    ツタマサキ(ニシキギ科)に絡まれ多アカガシ(フナ科) 

 やがてふたつの大きな電波受送信塔の横を抜けて山頂に着いた。山名を刻んだ大きな標柱と1等三角点の標石があった。
 残念なことに陽も隠れ、モヤも出てきて素晴らしい展望と言うわけにはいかなかったが東と西に海が見え、北には山々が峰を重ねていた。西には鳴門大橋といくつかの小さな島々が見えた。
 そばに設置された展望台で昼食とする。寒さの中での温かなコーヒー、果物クッキーなどいつもながらワイワイとにぎやかにいただく。
 帰路登山口脇の休憩所ものぞいてみる。明るく広く、タタキ、椅子、テーブルの間と畳の間もありゆったり休める。

   
西方向の展望 やや右寄りに鳴門大橋が見える    諭鶴羽山山頂で 
   
アカガシの森    アカガシの巨木 

 車での下りは別ルート、上田林道を取った。神職さんからは旧道も上田林道も道幅はさして変わらないと聞いたものの、新しい林道の方がましではないかと判断したのは結果としては正しかった。路面は未舗装の岩くれや砂利道が多かったものの、幅広で交差スペースも取られていて、極度なヘアピンも無く、勾配、曲がりも緩やかだった。
 上田ダムがせき止めた池田池はほとんど水が無く空池となっていた。

 西淡三原ICから高速道に乗り北淡IC経由、新年会と総会を予定している「のじまスコーラ」へ向かう。21年前のこの日、ここの野島断層がずれて阪神淡路大震災を引き起こし、6,734名の命を奪ったのを忘れることができない。断層をそのまま保存している北淡震災記念物公園は時間もないので回り道して外から見るだけにとどめてのじまスコーラに着いた。
 「のじまスコーラ」はその名のように2010年廃校になった小学校をイベント会場、販売所、レストランそしてカフェからなる観光施設にしたもので、海に沈む夕日を見られるところとして人気が出ている。
 ここのカフェで約1時間10分新年会兼総会を行い、今日の全ての行事を無事終えて解散とした。
 大阪勢は直帰、そして 滋賀県勢は折角ということで断層の見学をして帰路に着いた。朝も空いていた高速道は帰りも渋滞なく楽に帰ることができた。(清水)

     
水がほとんどなくなった上田ダム、池田池    のじまスコーラ 廃校になった野島小学校を整備して
イベント、販売所、レストランを設けた人気の場所 
     
淡路震災記念公園で保存されている野島断層の割れ目     

コースタイム

JR守山駅 7:40 所要時間 1:15
栗東IC 歩行時間 0:45
名塩SA 8:50 休憩時間 0:30
歩行距離 1.0km
JR川西池田駅 9:00 累積登高 約90m
宝塚IC 9:15 累積下降 約90m
名塩SA 9:20
淡路SA 10:00/10:15
西淡三原IC 10:40
黒岩水仙郷 11:20/12:10
諭鶴羽神社 12:30/12:45
諭鶴羽山山頂(607.9m) 13:10/13:40
諭鶴羽神社 14:00/14:05
池田林道
西淡三原IC 14:50
北淡IC 15:10
のじまスコーラ 15:30/16:40
北淡IC 16:50
宝塚IC 17:40
JR川西池田駅 18:05
淡路震災記念公園
北淡IC
栗東IC

 
諭鶴羽山山頂付近地図 (諭鶴羽山 ふるさとの森公園案内図を
コピーさせていただいています) 

参加者    会員7名(清水、白柳、瀧井、深尾、南井、村上、和田)


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