7月17日(火) 晴れ
新千歳空港で後の便で着いた南井さんと合流し、レンタカーで市内のイーオン店で明日から3日間の食料を購入した。千歳東ICから道東道に入る。片道1車線がほとんどだが、走る車は少なく順調に進む。スキーツアーで何回か通ったりした占冠やトマムを過ぎて広い十勝平野へ向けて下り、十勝清水ICで一般道に出た。十勝名物の豚の昼食を摂ってから真っ直ぐ北へ向かう。トムラウシ温泉まで約70kmというから北海道の山は深い。山間に入ってからの40kmは東大雪湖などの畔も通るが、畑も人家もほとんどない。走り疲れた頃道は砂利となり、やがて少し下って右に谷を渡るとトムラウシ温泉、東大雪荘だった。
トムラウシ温泉 東大雪荘
4階一部5階建ての大きな建物だった、。ここでキャンプ場やトムラウシ山の情報を教えてもらった。キャンプ場は水道、トイレは使えないが、テントを張るのは自由ということで安心した。ロビーの白板にはカムイ天上付近のぬかるみが"田植え状態"という言葉で表現され、また南沼のお花畑が赤、白、黄色で感激したとか、星空にも感激と言った言葉が書かれていた。
キャンプ地でテントを張り、一旦温泉に戻り、湯に浸かってからテントの中で夕食を済ませ、明日からの山行きに備えた。
7月18日(水) 晴れ後曇り
4時過ぎに起床。ラーメン等の朝食を済ませ、テントをたたんで短縮路へ向かう林道を車で行く。距離7kmで林道の終点に着いた。車2,30台は駐車できるスペースがあり、トイレや入林届箱も設置されている。トムラウシ温泉からの登山路を利用するより1時間は短縮できるので、今はここが実質の登山口になっている。
林道終点、登山口の南井さん カムイ天上の先からトムラウシ山頂上を望む
ここを出発して25分も行くと旧登山路と合流する。トドマツ等の喬木の中の急な坂を約1時間登ったところがカムイ天上で標識がある。ここから3分ていどの所に新道の標識があり、コマドリ沢沿いに行く旧道は杭で閉鎖されていた。路の崩壊等安全上の配慮からだろう。こからはダケカンバ帯の中の路で、ところどころ、ぬかるみが現れるが、ここ数日の好天で苦労するほどではない。取っ付き側では木道の整備も始まっていて資材の丸太などが準備されていた。
長い平坦な路に飽きる頃日も上がってきて暑くなる。右に谷が近づくと谷の向こうの稜線のそのまた向うにトムラウシ山の頂が見えてきた。やがてコマドリ沢への標高差100mの下りがあり、そこから谷沿いに少し登るとコマドリ沢の水場に出る。
雪渓の水を融かした水で、冷たくておいしい。キツネのエキノコッカス菌がいるので北海道の生水は飲まない方がいいとよく言われているが、それは里に近い方のことで、高山ではキツネも少ないし、水量も多い雪渓からの水ではあてはまらない。あまり神経質なのは馬鹿げている。
黄色のウコンウツギがきれいな水場を後にして北の小谷を登る。もう少し早い時期なら、水場からずっと雪渓を登れて楽だが、今は雪渓は3,4割残る程度で、残りは脇の登山路を登る。30分も登ると直径1mほどの岩のみの岩原の斜面となりこれをトラバースして左岸に出る。ここからは普通の登山路で花も多くなってくる。
時々キュッとゴムをこすったような音が聞こえ、靴底か思ったがそうではなく、ナキウサギの声だと思いついた。ここからずっとヒサゴ沼まで、この声を聞き続けることとなった。大雪山に比べて圧倒的に多いと思った。
水場から約1時間の登りで着いたところが前トム平(1738m)だ。礫地には乾燥性のお花畑が広がり、イワブクロ、チシマキンレイカ(別名タカネオミナエシ)やチシマギキョウが群れて咲いていた。
前トム平のお花畑 イワブクロ、チシマキンレイカ、 前トム平のチシマギキョウ
チシマギキョウ
ここから小ピークを越えて右に岩場を下り、着いたところがねトムラウシ公園で、ピンクのエゾコザクラ、黄のミヤマキンバイ、そして白のチングルマ等が湿性のお花畑を形作っている。真ん中に雪解け水が豊かに流れて心休まる公園だ。しばらく写真撮影に夢中になる。朝早くトムラウシ温泉を出発して、頂上を登り、帰る軽装のパーティーに会う。
トムラウシ公園のお花畑
ここからトムラウシ山を載せている台地への登りにかかる頃、雨がポツリポツリと来て、雨具を付けるが、その後は雨は止んで、ガス模様となった。途中コマクサの咲いていたが、暗くて色もさえないだろうということで、明後日の帰路に撮影することとして、南沼のキャンプ地へ直行した。
キャンプで路は右へ頂上への直登路、その左に北沼への巻き路、そして左に十勝岳方面へ向かう路に分かれる。
頂上からは登山者がまばらに降りて来るのが見られた。
私達は天候も悪いので頂上は明日登るとして、巻き路を取る。しばらくチングルマ、エゾツガザクラ等が雪田や池そして様々な形をした溶岩を取り巻くように彩る。この先巻き路には
頂上部から流れた岩原が3本ほどあり、この岩の頂を跳ぶようにして進むので、北沼までは意外と時間がかかった。頂上経由と差はない感じだった。北沼もガスがかかり半分しか見えなかった。
北沼からヒサゴ沼までは火山の小噴火丘や小クレーター等が散らばっていて、しかも例の溶岩の岩原が続きコースも大きく迂回するところがあるなどガスの中では方向を見定めるのに少し気を使った。15mおきに付けられたピンクのビニルテープと岩上の踏み跡が頼りだ。天沼付近にもヒサゴ沼へ下るルートがあるはずだったが、その分岐は見付けられなかった。
3年前の7月9人が低体温症で亡くなった遭難事件もこうした見通しの悪い天候よりもさらに悪い条件では確かに十分に起こりえたと思う。
天沼からさらに行ったコルにヒサゴ沼への分岐の標識があり、ここを右に下り、ヒサゴ沼の避難小屋とキャンプ地に着いた。小屋は2階建てで、北から来た人達は雨に会ったとのことで、雨具が所狭しとぶら下り人いきれと湿気と暗さでうっとうしく泊まる気になれなかった。どう見てもテントの方が清潔で明るく気持いい。テントに慣れないという南井さんは勇気を持って小屋に泊った。
風はあったが、夜半には止み、雲ひとつない星空が広がっていた。
7月17日(火) | 7月18日(水) | 7月19日(木) | 7月20日(金) | |||||||
伊丹空港JAL3911他 | 8:10&8:30 | トムラウシ温泉キャンプ場 林道7km |
5:00 | ヒサゴ沼1650 | 5:45 | 南沼1980 | 5:55 | |||
新千歳空港 レンタカー買い物 |
10:00/10:40 | 短縮林道終点950 | 5:25/5:35 | 稜線沼分岐 | 6:20 | トムラウシ公園 | 7:05/7:15 | |||
千歳東IC 道東道 111km |
11:30 | 同分岐1000 | 6:00 | 1880mピーク | 7:45/7:55 | 1800mピーク | 7:35/7:40 | |||
十勝清水IC 70km | 12:50 | カムイ天上1240 | 6:55 | 北沼2000 | 8:40/9:05 | 前トム平1738 | 8:00 | |||
トムラウシ温泉キャンプ場 700 テント泊 |
15:00 | コマドリ沢分岐 | 8:40/8:50 | トムラウシ山2141 | 9:30/9:55 | コマドリ沢 | 8:40/8:50 | |||
前トム平1738 | 10:00/10:05 | 南沼1980 | 10:15/12:45 | カムイ天上1240 | 10:10/10:20 | |||||
トムラウシ公園 | 10:00/10:55 | 黄金ヶ原道中間点 | 13:40/13:50 | 短縮林道分岐1000 | 10:50 | |||||
トムラウシ南沼1980 | 11:50/12:45 | 南沼1980 テント泊 | 15:00 | 短縮林道終点950 | 11:10/1120 | |||||
北沼2000 | 13:35 | トムラウシ温泉 70km | 11:40/13:10 | |||||||
天沼 | 14:15 | 十勝清水IC 道東、道央道271km |
14:30 | |||||||
ヒサゴ沼分岐1800 | 14:40 | 黒松内JT 10km | 17:00 | |||||||
ヒサゴ沼1650 テント泊 | 15:15 | 黒松内 買い物、及川旅館泊 |
10:10/10:20 |