髙取山~飛鳥山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・Ⅱ」登山クラブ

山行記録

髙取山(583.9m)~飛鳥山行記録

2016年3月5日(土) 晴れ時々曇り

 近鉄壺阪山駅前の信号をわたり次の辻を右にとると古い家並みが続く土佐街道にはいる。ここが高取城の城下町で、薬の町でもある土佐街道のメーンストリートだ。
 3月は「町屋の雛めぐり」が催されていて、家々の雛物語を色紙に書き添え表通りから見えるように雛を飾っている。
 町屋とお雛様がコラボする通りを格子戸越しに覗いたり、玄関先までおじゃましたりして右に左にと歩く。春の花の寄せ植え鉢も所々にあり、雛に負けずに通りを華やかにしている。店先には美味しそうな大福餅等が並べてあり、食いしん坊な私は思わず手が出て買ってしまう。
 路上に目を移すとアオキ、ナンテン、センブリ、ゲンノショウコ等の絵と薬効の書かれたタイルが所々に埋め込まれ薬の町であることを印象づけている。

 風情ある家々が続く中で一際目をひく町屋がある。藩主下屋敷表門を移築したと言う石川医院で過去にタイムスッリプしたような佇まいだが、木の長椅子に座って何人もの患者さん(?)が診察を待っている。

 小広場では地元老人会の「甘酒飲んでいって!」の声につられて買ってしまい皆でまったりとする。左の奥まった所にある「雛の里親館」では何段にも高く、多くのの雛が展示されていて圧倒される。又、手作りの「つるしびな」も天井から沢山つるされていて労を察するが、説明がないと雛と解りづらい様だ。

 
髙取町の中心、土佐街道 町屋、武家屋敷が続く    昔の武家屋敷のままの石川医院 
 
髙取城の再現図、明治初期までこれに近い立派な
姿が見られた 
  雛の里親館の高段雛 

 この後、伊勢屋屋敷跡、植村邸家老屋敷長屋門等を見て少し戻り札の辻跡を右にとる。全部は読めなかったが「右つぼさか・よしのの道」と書かれた石碑もたっている。ゆるやかな坂路を暫く歩くと町屋の雰囲気も徐々に薄れてきて雛を飾る家がなくなり国道にでる。
 国道を少し歩くと宮形大明神の鳥居が右に見えてくる。その車道土手を左に下ると川沿いの山道がある。植林帯の日陰でぬかるみの多い道だが、今日は4月中旬の暖かさとかで涼しく気持ちの良い歩きとなる。
 
 最後の急坂を登りきると壺阪寺前バス停の広場にでる。朱色の鮮やかな寺院と白い大観音石像が目に飛び込んでくる。小休憩の後、広場右の崖を登ると車道にでて壺阪寺の全容を俯瞰しながら歩けるようになる。分岐まできたら道標通りに左の山道に入る。しばらく歩き急な坂を登ると五百羅漢に着く。誰が彫ったのか無数の羅漢が刻まれている。風化しているが、それが味わい深い。

     
壺阪寺    五百羅漢


 五百羅漢遊歩道からアップダウンを繰り返し、八幡神社下の巻き道を通って一旦車道に出るが簡易トイレ横から再び山道に入る。やがて崩れかかった石垣が見えてくる。「城内にはいったのだろうか」と思いながら歩き、急な坂を登ると間もなく壺阪口門跡に着く。
 大手門から何回も石垣の角を曲がらないと本丸に辿りつけなく、櫓からの攻撃と袋小路に造られた道に攻めてくる敵はたまったものでなかっただろう。日本三大山城の中では麓から本丸までの高低差が1番大きく難攻不落の城と言われているらしいが、今は美しい石垣を残して私達を楽しませてくれている。 
 昔人に思いを馳せて「通勤が大変だ」の軽口もでて、三等三角点のある本丸跡で昼食とする。眺望は残念ながら春霞か、大陸からの黄砂か、山の稜線が影より薄く連なって見えるばかりだ。

 
髙取城跡の説明    三の丸付近の石垣 
   
 本丸下の石垣   天守台で  高取山山頂三頭三角点(583.9m)

 大手門から真直ぐに宇陀門跡、松の門跡、矢場門跡、二の門跡と下った分岐に猿石が何とも言えない顔で鎮座している。ここを右に進む。荒れた竹林を通り、支尾根をどんどん下ると大根田キトラ古墳への分岐に来る。

 さらに下り谷筋にでるとまもなく栢森集落のはずれ飛鳥川にでる。川には長いしめ縄の女綱が張られている。
 山あいの飛鳥川右岸を稲淵に向かって歩くと宇須多伎比売命神社の長い石段が見えるが寄らずに進む。さらに進むと万葉集にうたわれた「飛鳥川の飛び石」の標識があるので、県道を離れて川に置かれた平らな石をトントンと踏んで集落の道へ入る。農作業をしている長閑な村道を進むと今度はしめ縄の男綱が川に張られている。栢森に掛けられている女綱と一対で五穀豊穣と子孫繁栄の願いが込められているらしい。川幅が広く張るのが大変だろうと思った。
 稲淵の棚田展望場に着く。棚田は上からの方が綺麗に見えるのだろうが時間がなく対岸から眺める。真ん中辺りに大きな案山子があり、下の方の田に菜の花が僅かに咲いている。畦に赤い彼岸花が咲くころは稲穂と相まって美しいらしい。そのころにまた訪ねたいと思う。

 やっと石舞台古墳に着く。今は垣根に囲まれて入場料を払わないと近づけないので、覗き見だけして先に進む。聖徳太子生誕の地、橘寺も左上に見ながらここも寄らず先に進む。謎の石造物、亀石、鬼のまな板、鬼のせっちんを見て進むと大きな森の欽明天皇陵に着く。そのすぐ近くに吉備姫王墓があり、柵の中に猿石4体がある。ポーズがそれぞれ違っている。日光の三猿のように何か物語があるのだろうか。高取城からの分岐にあった猿石と表情がそっくりだがここから移されたのだろうか。不思議が一杯たまり、やっと飛鳥駅に着く。

 
二ノ門跡の猿石 飛鳥の古代遺跡が持ってこられた
らしい 
  飛鳥川に渡された女綱 
 
飛鳥 石舞台    飛鳥 鬼の雪隠 すぐ上の鬼の俎の上に被さって
ワンセットの古墳だったと推定されている 

高取、明日香の史跡をはしょりながらの歩きでしたが、皆さんの「何でも見てやろう」の精神に感心した1日でした。 (文 村上) (写真 瀧井、清水)

コースタイム

壺阪山駅(115m) 9:37/9:45 川西能勢口駅 7:51 所要時間 9:30
髙取町土佐街道 雛めぐり 梅田駅 8:15:00/8:28 歩行時間 8:05
札ノ辻 10:36 天王寺駅、大阪阿倍野橋駅 8:43/8:50 休憩時間 1:25
吉備川の橋(150m) 11:02 壺阪山駅 9:37/9:45 歩行距離 18.91km
旧道入口(190m) 11:10 累積登高 729m
壺阪寺(295m) 11:30/1140 累積下降 754m
登山口分岐(365m 11:50
五百羅漢(380m) 11:55~12:00
アンテナ塔、八幡神社の北
車道交叉、トイレ(485m) 12:25
休憩 12:20/12:25
壺阪口門(520m) 12:30
丁字路(560m) 12:35/12:40
本丸天守台(583.6m) 12:55/13:40
丁字路(560m) 13:55
猿石、宗泉寺分岐(470m) 14:10
キトラ古墳方面分岐(350m) 14:25
飛鳥川、県道15号、女綱(220m) 14:40
とび石 15:05
稲淵棚田展望所(150m) 15:30
石舞台 16:00/16:05
亀石 16:30 飛鳥駅 17:15/17:25
鬼の俎、鬼の雪隠 16:45/16:50 天王寺駅、大阪阿倍野橋駅 18:12/18:20
欽明天皇陵 17:00/17:05 梅田駅 18:35/18:40
飛鳥駅 17:15/17:25 川西能勢口駅 19:01


 
髙取山~飛鳥トラック地図1 
 
 
髙取山~飛鳥トラック地図2 (髙取山)
 
 
髙取山~飛鳥トラック地図3 (飛鳥)
 
 
髙取山~飛鳥トラック地図4 (髙取城跡) 

参加者    会員6名(村上、清水、白柳、瀧井、深尾、和田)


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