白山山系 銚子ヶ峰(1810.4m)~三ノ峰(2128m)~別山平(2208m)
2022年7月23日(土)~25日(月)
三ノ峰は白山から別山を経て南に伸びる主稜線が西に赤兎山へと伸びる稜線を分ける分岐点にそびえている。主稜線は銚子ヶ峰で大日岳方面と願教寺山、野伏岳方面に分かれ、赤兎山への稜線は赤兎山で経ヶ岳方面と大長山方面へと分かれている。このように三ノ峰はこの山域の要であり、石川、福井そして岐阜3県の分岐点になっている。
大きなこの峰を背景とする刈込池の紅葉はなかなかにいい。
これまで三ノ峰には大型連休の残雪期、3回登っていたが、全て福井県大野市の刈込池登山口からの往復だった。石徹白大杉からのアクセスは魅力的だったが、距離が長く、なかなか取り組めなかった。
コロナウイルス感染拡大で動きにくくなった時節、比較的近く、魅力的なものとして石徹白から銚子ヶ峰、三ノ峰そして別山への往復コースをついに歩くことにした。
初日の23日は登山口の石徹白大杉登山口まで。
時間は十分あるので、途中、まだ登っていなかった鷲ヶ岳(1671m)へ寄った。
石徹白へはいつもの県道314号を通る。阿弥陀滝の駐車場前は入場待ちの車が並んでいた。絶え間なく続く屈曲と登りの道だ。
白山中居神社からは谷沿いの林道で5km余りで大杉入口に着いた。15時になっていた。
20台程度収容の駐車場と東屋とトイレ、そして水飲み場がある。
東屋側のスペースに駐車して、明朝を待つこととした。
ここでまず名古屋からの60歳代の登山者と会う。明日早く出て、別山を越えて南竜ヶ馬場まで行きテント泊して戻るとか。
次いで30歳代の男性2名、これから神鳩ノ宮避難小屋まで行き、明日は白山を登り、東へ下ると言う。どちらもうらやましい気力だ。
17時頃に、カレーの夕食にしたが、日が暮れるのは遅く、19時半頃だった。
車の中、椅子を倒し、座布団を敷いてフラットにした寝床で横になり、時々窓の外の星空を覗く。正面、南にさそり座が見え、高くはアルクトゥルスが一段と明るく輝き、東南にはスピーカも輝いていた。
銀河も垂直に見え、濃くなったり、薄くなったりしていた。土星も見えたが、木星が上がってきたのは夜中だった。
石徹白大杉入口 東屋、トイレ、登山口が見える |
24日(日) 晴れ
ほとんど寝ることなく、夜明けを待って、4時に起き出して、ラーメンの朝食を済ます。
4時50分.出発。
荷は水、2 L、カメラそして三脚も入れて16kg。星空がいまひとつなら三脚も一眼レフも過剰装備となるので、迷った末の選択だった。
大杉までは、玉石の階段を300数段を登る。美濃禅定道の名の通り、趣きがある。大杉はまだ薄暗かったが、やはり日本で5番目(幹周14m)と言われるだけその偉大さを感じる。1番は屋久島の縄文杉(幹周り16.1m)だがこちらは幹が同じ太さのままズンと上に伸びているのは個性的だ。
ここから上は、石の階段はなくなり、普通の山路になる。坂道その後、緩やかな路と続く。
順調に登ってゆくとやがて芝生を前にした神鳩ノ宮避難小屋に着く。
大杉への石段 | ||
神鳩の宮避難小屋 標高1574m地点にある | 石徹白大杉 幹回り14m |
そこからわずかで、大日岳への主稜線を右に分けるはずだが、気が付かなかった。
銚子ヶ峰が前に聳えているが、その中腹に丸く大きい花崗岩を二個重ねた、母御石が白く目立っている。白山の開山、泰澄上人が山を登ろうとした母を閉じ込めたとの伝説のある石だ。
今日のコースの主要な目標である銚子ヶ峰(1818.4m)目指してがんばると、360度を見渡せるその山頂に着いた。今日の行程の半分を越えて、安心感に浸る。
展望として北に一ノ峰、ニノ峰、三ノ峰そして別山が、西に願教寺山や経ヶ岳などこの山域の高峰が見渡せて、気持ちいい。
銚子ヶ峰から南を望む 中段右に延びる尾根に鳩の宮避難小屋 が見える |
銚子ヶ峰から北の展望 中央は別山 右は南白山 | |
銚子ヶ峰山頂 | 別山 左が別山平 | |
ニッコウキスゲ咲く縦走路と南白山 | 一ノ峰と別山 |
銚子ヶ峰山頂を後にして一ノ峰(1839m)へ向かう。
一ノ峰からニノ峰(1962.3m)は割に短い。鞍部からの登りは150mほどで笹原の中を進む。
二ノ峰の山頂部は針葉樹の森になっている。路は山頂の西100mを通っている。最も近い点に白い柱が立っていて、そこから微々たる踏み跡らしいものが見えたがびっしりとした笹に覆われてはいりこめそうにない。。
ニノ峰からは笹原に覆われた三ノ峰が真正面にそびえて気持いい。鞍部からの登りは170mほど、実際には休むわけでは無いが、目分量でその登りを3等分して登ることとした。
稜線を下ると最低鞍部の手前70mに当てにしていた水呑釈迦堂跡の水場への入口があった。これから銚子ヶ峰へ向かうという中年の男性が先に水汲みに出かけた。
笹が覆いかぶさって、滑りやすい急な沢筋の踏分けを70m(標高差30m)降ると水場だ。直径30cmの堀込みに直径3cmの孔があり、ここから水がコンコンと湧き出している。飲んでみると非常に冷たくて、きっと5、6℃、本当にうまい水だった。こんなに湧き水がうまいと感じたのは、数十年振りだ。
二の峰、三の峰間の水場入口 水呑釈迦堂跡 水場は右下70m | コルから三ノ峰を仰ぐ |
ここから、ターゲットにした点を目安に登る。
鞍部から三ノ峰麓にかけては花も多く、特にマツムシソウ、タカネナデシコ、そしてシモツケソウが鮮やかだった。スミレの仲間では黄花のオオバキスミレも。
山頂の丸いドームを左に巻き気味に進むと、三ノ峰避難小屋が目の前に姿を現した。手前右手には雪田が厚く残っていた。
小屋で荷を整理してから、周辺の豊かなお花畑を見て回る。
マツムシソウ | マツムシソウ | |
タテヤマアザミ | ヨツバシオガマ | |
三ノ峰から二ノ峰、一ノ峰、銚子ヶ峰方面を見る | オオバ゛キスミレ | |
避難小屋近くの雪田とオオバギボウシ | 雪田の雪が溶けるとすぐに咲くハクサンコザクラ | |
三ノ峰避難小屋 本峰南のドーム頂上にある | 避難小屋周辺のお花畑 | |
三の峰本峰とミヤマシシウド | ミヤマダイモンジソウ |
小屋では3名と一緒だった。
この山域には皆馴染みで、他に全国のそれぞれが印象の強い山々の話が続いた。
佐藤さんからは野伏岳のこと、辻さんからは丹沢山、そして最近志向している大峰奥駆け等の古道行脚、佐藤さんからはカムイエクウチカウシ山のこと、そして
夜は初め、明るい星は見えていたが、やがて霞んできてしまい、夜中には全くの霧の中に入ってしまった。
7月25日(月) 曇り後晴れ
朝、ガスは晴れたが、空には厚い雲が広がっていた。
写真を撮るにも、不都合な天気なので、出発を遅らせて、5時10分に小屋を出た。天気さえ早いうち回復してくれれば別山山頂まで行くつもりだったが、望み薄だった。
三ノ峰(2128m)の山頂へは10分余りで着く。
このコルの路の端にいくつもの花が咲いていた。
右前には別山が見えるが、山頂は雲に覆われていて見えない。東山腹の太平壁が目に着く。そして別山平手前から西に分かれた、2009mピークの南の岩壁も凄い。
別山から右に連なる稜線に頭を持ち上げているのは、南白山(2158m)で今回初めて認識した。
最低鞍部(2030m)から黙々とと登ると別山平(2208m)に着く。薄いガスの下、ニッコウキスゲの群落がいくつか広がっている。ただ密度がいまひとつで、昨日話に出た雄国沼とは広さはもちろん、較ぶべきもない。
別山平の概要をカメラに収めて、引き返すことにした。三ノ峰への鞍部で白山室堂へ向かう辻さんに会う。
別山平への縦走路から三ノ峰を振り返る | 縦走路に多いカライトソウ(唐糸草)(バラ科) | |
別山平のニッコウキスゲ | ニッコウキスゲ | |
ガスが湧く谷 | センジュガンピ (ナデシコ科) |
もう誰もいない三ノ峰避難小屋へ戻り、帰路に着く。
ニノ峰手前で、雲が取れて、夏空が広がってきた。ピーク、鞍部の繰り返しとなるが全体には下りなので、それほど疲れは来ない。荷も少しは減っていることもある。
一ノ峰から銚子ヶ峰間はやはり歩きにくい。
銚子ヶ峰の山頂付近では陽が強く、休憩はナナカマドの木陰で取った。
銚子ヶ峰からの降りは思ったより長かった。御母石から神鳩ヶ宮避難小屋、
タカネヤハズハハコと一点紅、ハクサンフウロ | シモツケソウ |
大杉から玉石の階段を降り、14時30分に登山口に着いた。
高鷲ICから高速に乗り、関SAで夕食を取ったりして、川西には19時50分帰着した。
いつか行ってみたい長距離のコースだったが、無事完走できた。
花は三ノ峰南から別山平の間に多くの種類を見ることができた。また三ノ峰南の水場では、これまで1.2の素晴らしい水に出会えたのは思っても見ないことだった。また自分自身は、口惜しいことながら、素晴らしい、中高年登山者に出会えて楽しかった山旅だった。
今回出会えた花々
イワカガミ、ウサギギク、オオバキスミレ、オオバギボウシ、オオバミゾホウズキ、カライトソウ、クガイソウ、クルマユリ、コバイケイソウ、シナノキンバイ、シモツケソウ、センジユガンピ、タカネナデシコ、タカネヒゴタイ、タカネヤハズハハコ、タテヤマアザミ、ニッコウキスゲ、ハクサンコザクラ、ハクサンチドリ、ハクサンフウロ、ハクサンタイゲキ、マルバダケブキ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマウツボグサ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマシャジン、ミヤマダイモンジソウ、ヤマブキショウマ、ヨツバシオガマ 計29種
(文 清水)
コースタイム
7月23日 | 合計 | 7月24日 | 7月.25日 | ||
清和台 | 6:15 | 所要時間 | 18:55 | 9:30 | 9:25 |
川西IC | 6:20 | 歩行時間 | 15:55 | 7:50 | 8:05 |
高鷲IC 255km | 休憩時間 | 3:00 | 1:40 | 1:20 | |
鷲ヶ岳登山口 | 11:00 | 測定機器 | スマホ | ||
鷲ヶ岳1671m | 11:15/11:25 | ソフト | ジオグラフィカ | ||
鷲ヶ岳登山口 | 12:05/12:15 | 測定点数 | 765 | ||
石徹白大杉登山口 291km | 15:00 | 歩行距離 | 20.07km | 7.98km | 12.09km |
累積登高 | 2097m | 1436m | 661m | ||
7月24日 | 累積下降 | 2097m | 337m | 1760m | |
石徹白大杉登山口969m | 4:50 | ||||
大杉1059m | 5:05/5:10 | ||||
1270m | 5:50/5:55 | ||||
1327m | 6:10/6:15 | ||||
1459m | 6:45/6:50 | ||||
1502m | 6:55/7:00 | ||||
鳩ヶ宮避難小屋1574m | 7:25/7:30 | ||||
1666m | 8:00/8:10 | ||||
母御石1749m | 8:35 | ||||
銚子ヶ峰1820m | 9:05/9:25 | ||||
一ノ峰手前鞍部18:28 | 10:10/10:20 | ||||
一ノ峰1807m | 10:45/10:55 | ||||
コル1836m | 11:35/1145 | ||||
二ノ峰1952m | 12:25 | ||||
水呑み釈迦堂跡1930m | 12:30 | ||||
水場1900m | 12:50/12:55 | ||||
水呑み釈迦堂跡1930m | 13:50/13:55 | ||||
三ノ峰避難小屋2095m | 14:20 | ||||
7月25日 | |||||
三ノ峰避難小屋2095m | 5:10 | ||||
三ノ峰2127m | 5:20 | ||||
最低鞍部2098m | 6:05 | ||||
別山平2211m | 6:30 | ||||
最低鞍部2098m | 7:10 | ||||
三ノ峰2127m | 7:35 | ||||
三ノ峰避難小屋2095m | 7:45/8:05 | ||||
水呑み釈迦堂跡1930m | 8:35 | ||||
二ノ峰1952m | 8:50 | ||||
一ノ峰1839m | 935/945 | ||||
最低コル1713m | 10:05/10:10 | ||||
1782mピーク | 10:30/10:35 | ||||
銚子ヶ峰1810m | 11:05/11:25 | ||||
母御石1715m | 11:45 | ||||
鳩ヶ宮避難小屋1574m | 12:25/1235 | ||||
1407m | 13:10/13:15 | ||||
1295m | 13:35/13:40 | ||||
大杉1056m | 14:20 | ||||
登山口969m | 14:30/14:55 | ||||
高鷲IC | 16:00 | ||||
関SA | 16:30/17:30 | ||||
多賀Sa | 18:30/18:50 | ||||
川西IC | 19:50 | ||||
清和台 | 19:55 |
銚子ヶ峰~三ノ峰~別山平トラック地図 |
参加者 会員1名(清水)
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