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山行記録

北海道 利尻山(1719m)(個人山行)山行記録

今回の利尻行きは早くから計画して楽しみにしていたが、2月末頃から新型コロナウィルスが流行し始め、外出自粛生活が数ヶ月続いた。
 県外移動が解除になってからも感染拡大のことが気になり、気持ちが前向きにならず、出発日が近づいてきてもなかなか準備も進まなかったが、出発前日になって何とか気持ちを切り替えて荷造りをした。


7月23日(木祝) 曇り風あり
 伊丹から札幌経由で利尻空港へ、札幌は曇り、利尻空港への進入限界高度に厚い雲がかかっているので見通しが効かない場合には何回かチャレンジして引き返すこともあるとアナウンスがあったが、無事利尻空港へ着陸。
 曇っていたが飛行機の窓からは利尻山の山頂付近が見えた。迎えの車でペンションへ。検温、消毒液、マスクなど感染予防対策がされている。
 夕食まで時間があるので近くの歴史の森から高山植物展示園を散策、利尻富士温泉に入る。
 明日は天気が良くないと聞き、予備日の明後日に登ることにして今夜はゆっくりできるので島で採れた新鮮な魚介尽くしの夕食を時間をかけて味わった。献立はスケソウダラ白子のバター焼き、ホッケ煮、マダラの卵、ニシン一夜干しの昆布巻き、ウニ、イクラ、蛸の頭、マグロ、サケのお造り、銀杏藻(ミミコ)の味噌汁、蒸しウニの茶碗蒸し、自家製サラダ、漬物、ご飯、デザートのミニ大福などのご馳走で、外出自粛でずっとお家ごはんが続いていたこともあり、とても美味しかった。
 新型コロナウィルスの影響で礼文島日帰りができず、利尻島の観光バスも走ってなかったので、翌日はサイクリングをすることにする。

北の海の幸いっぱいの夕食 


7月24日(金祝) 曇り時々雨
 美味しい牛乳と魚と海藻の朝食を頂き、準備をしてさあ出かけようとしたら雨が降ってきたので部屋で待機する。11時前頃に雨が止んだので再出発、
 ママチャリでサイクリングロードを走る。ファミリーキャンプ場を抜けて湾内大橋、富士見大橋、姫沼橋を渡る。海岸線がよく見え、曇っていても自転車で風を切って走るのは気持ちがいい。
 姫沼交差点からは緩い上り坂が続き、ペダルを踏む足に力が要る。明日の登山に差し支えなければいいが、ウォーミングアップと思い、頑張る。道端にはノラニンジンがたくさん咲いている。
 姫沼に着いたらまた雨が降ってきたので休憩舎で花や星の写真などを見て雨が止むのを待った。雨は止んだが利尻山は見えない。沼を一周する。

 ここからポン山、名水甘露泉水へと道が続いていて3時間半くらいの行程である。天気が悪くて利尻山に登れなかった場合のサブコースとして考えていた。
 姫沼交差点まで来た道を戻る。自転車の下り坂は楽で、ついついスピードが出過ぎるので転ばないようにブレーキから手を離さないようにした。
 海岸通りまで下り、海岸沿いを鴛泊港まで走りフェリーターミナルで昼食、すぐ近くに見える港から突出したペシ岬へ行く。ノコギリソウやタチアオイ、タツナミソウ、フウロソウなどが咲いている道をのんびりと登る。 途中に会津藩士の墓がある標高93.7mの岩山で白い灯台が建っている。一等三角点があり展望は抜群。海の向こうに礼文島や稚内の方が見えている。見下ろすと切り立った崖になっていてカモメが飛び交っている。ここからは街中の道を抜けてペンションに戻った。

     
ペシ岬    ペシ岬頂上 

 空も明るくなり、明日の天気は大丈夫だろうと期待も高まる。明日の準備をしてから、今日も魚介尽くしの夕食をいただく。
 登山届には、上着、ズボン、雨具の色、非常食は何食分、水は2L持つこと、他にも細かい注意事項が書かれたもので、提出する時にどのくらいのペースで歩けるのか?と聞かれ、長官山まで4時間で行けなかった場合は引き返したほうがいいと言われる。新型コロナの影響でトレーニングも十分にせずに来た夏山、登れるのだろうか?と緊張感が高まってきて早い目に就寝。

7月25日(土) 晴れ
 早朝、おにぎり弁当をもらい、水は重たいので1Lにしたが、2Lは必要と再確認され甘露泉水で汲んでいくと答えて車で登山口の北麓キャンプ場まで送っていただく。
 駐車場には車も多く、登山者は多いようだ。ここには水洗トイレ、靴洗いの水場、使用済み携帯トイレの収納箱がある。
 準備体操をして出発、舗装路が3合目の甘露泉水まで続く。水を1L追加し、ポン山との分岐を過ぎて乙女橋を渡ると針葉樹林帯の緩い登りが続く。
 普通に歩いているつもりだが、後続の登山者に次から次へと追い越され、こんなことで時間内に長官山まで辿り着けるのかと思いながら黙々と歩く。

 5合目で見通しがきき、礼文島が見えた。速足で先行した登山者達もここで一息ついている。6合目は第一見晴らし台になっていて昨日自転車で走った道がよく見えた。
 6.5合目に最初の携帯トイレブースがあったがスルーし、ハイマツの間をジグザグに登っていくが、なかなか7合目の道標が出てこない。

 漸く7合目に着いたら胸突き八丁と書いてあり、急坂を登り切ると第二見晴らし台でまた視界が広がる。
 背丈位の草木やアザミが咲く道を登りきると8合目の長官山、3時間半かかり、何とか標準タイムで登れた。目の前に利尻岳の全容が現れ、雲一つない青空、緑の山肌、雪渓、登って行く人が小さく見える。ここから見てもまだ見上げるほど高い。ここからなだらかな路がしばらく続き、避難小屋と
2番目のトイレブースを通過、草木が背丈ほどに茂った狭い道を進む。前方にはまた利尻山の頂上が見えてきたがまだ遠そうである。

   
長官山からの利尻山    長官山からの利尻山  

 路はまた急坂になり、道幅広く階段状に作られたガレ道になると視界が大きく開け、まず目に飛び込んできたのは咲き競っているイブキトラノオと雲海、青い海、そして足元に見つけたリシリヒナゲシ(利尻ひなげし) 2輪、イワギキョウ、ノコギリソウ、イワベンケイ、アズマギク、エゾツツジなど色鮮やかなお花が咲いていて今までの苦労が報われる気分である。

   
 北に礼文島が見える   イワギキョウ 

   
 イブキトラノオと日本海    西面とミヤマシシウド

       
イワベンケイ    シコタンソウ    リシリヒナゲシ 


 9合目に着いてあと少しと思ったが、ここからが正念場と書かれていた。ここで初めて携帯トイレを使用してみる。思っていたより簡単だったが慣れないので時間がかかる。自然環境保護のためこのようなトイレ方式がこれから増えていくのだろう。ここからもうひと頑張りと気を引き締める。
 西側は崖になっているやせ尾根で足元の土は赤くザレていて滑って転んでいる下山者もいるのでバランスをくずせば危険だ。足も疲れているので路横に張られたロープを支えに登る。
 ろうそく岩が見えてきたら山頂はすぐそこ、最後の登りはロープを伝って重くなっている足を引き上げ山頂に到着。
 双耳峰だが、すぐそばに見えている本峰(南峰)へは危険で行くことができず、大山神社のある北峰が山頂となっている。
 後は下るだけと思い、ほっとして山頂からの景色を楽しむ。

 出発間際まで新型コロナウィルス感染のことで迷いがあったが、こんな最高の天気の日に登ることができたので来て良かったと思った。

   
 山頂とローソク岩を望む   南峰を望む 
     
北峰山頂   北峰山頂で 

 誰かがここからボタンキンバイが見えるよと言ったので覗いてみたが、目が悪いのでよく分からなかった。下る時、遠目に見えた黄色いお花の群落がそうだったのかもしれない。
 リシリオウギは山頂近くで咲いているのを見つけたが、リシリヒナゲシは数も減っているそうだが、時期も少し遅かったのか他に見つけることができなかった。

 下山は9合目まで滑らないようにと慎重に足を運んだ。一本道の来た道を下るので道に迷うことはない。6合目に着いて宿に電話をして、夕食前に温泉に入れる時間までには下りたいねと、ピッチを速めて下山、登山口で足元を洗い、使用済みの携帯トイレを収納箱に入れ、迎えの車でペンションへ。

 利尻富士温泉で一日の疲れを癒した。いい一日だった。

7月26日(日) 晴れ
  今日もよく晴れている。自転車を空港方面へ走らせ、まず美しい夕日が見られるという夕日ヶ丘展望台に上がってみる。標高56.7mで4等三角点があり、ペシ岬や礼文島がよく見えているが、裾野の広い利尻山の上部には雲がかかっている。山の天気は分からないものだ。
 次に立ち寄ったところは広々とした富士野園地、利尻山が正面に見える小高い展望所には日本百名山一筆書きをしていた田中陽希さんが最後の利尻山を登り、100山達成した記念プレートが掛けられていた。また、湊かなえの小説が映画化された「北のカナリアたち」のロケ地となった場所でもある。
 海鳥のコロニーになっているポンモシリ島が間近に見え、オオセグロカモメがクァークァーと鳴きながら島と園地を自由自在に飛び交っている。聞こえるのは波の音と海鳥の鳴き声だけ、普通だったら煩いと思うのだろうが、この最北の地では全く気にならず、東屋に座ってしばらく耳を傾けた後、リイシリ運上屋跡、会津藩士の墓などに立ち寄り、サイクリングロードを走ってペンションまで戻った。

 車で空港まで送ってもらい、また来ることがあるかもしれない?もう来ることがないかもしれない?と楽しかった4日間のことを思いながら帰りの飛行機に乗り込んだ。 (文 岡村、写真岡村、白柳) 

     
映画「北のカナリア」のロケ地  海鳥が棲むポンモシリ島 


コースタイム

7月23日 7月24日 7月25日 7月26日
伊丹空港 9:55 ペンション 11:00 ペンション 4:30 ペンション 9:20
札幌空港 11:50/12:35 姫沼 12:00 登山口(北麓キャンプ場) 4:50 夕日ヶ丘展望台 9:35/10:10
利尻空港 13:25 ペシ岬 15:05/15:30 5合目 6:15/6:25 富士野園地 10:20/10:55
ペンション ペンション 15:50 第一見晴らし台(6合目) 6:45/6:50 会津藩士の墓 11:20
第二見晴らし台 7:50/8:05 ペンション 12:25
長官山(8合目) 8:20/8:30 利尻空港 14:05
9合目 9:20/9:45 札幌空港 15:00/16:50
山頂 10:45/11:30 伊丹空港 18:50
9合目 12:15
長官山(8合目) 13:00/13:10
7合目 13:45/13:50
6合目 14:10
5合目 14:15
4合目 14:45/14:55
甘露泉水(3合目) 15:15/15:20
登山口(北麓キャンプ場) 15:30
ペンション


利尻山トラック地図 

参加者    参加者 会員2名(岡村、白柳)会

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