北海道日高山脈 幌尻岳山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・Ⅱ」登山クラブ

山行記録

幌尻岳(2052.8)山行
2014年7月16日(水)~19日(土)

7月16日(水) 晴
 関空発と伊丹発に分かれて大阪を出発し、集合地の千歳空港で合流する。
 大和さんのお兄さんが私達に車を貸してくれる為、札幌から来て待っていてくださる。感謝します。

車を借りて千歳イオンで3日分の食料の買い出しをした後36号線を南下し、道の駅「ウトナイ湖」で昼食をとる。その後、日高自動車道を沼ノ端東インターから日高富川インター迄走る。インターを降り、左折して237号を沙流川沿いに走る。多くのビニールハウスがある。トマト栽培をしているようだ。平取(ビラトリ)町は全国有数のトマト栽培地だと大阪に戻ってから知る。近畿のスーパーではよく売られているそうだ。


 道筋の二風谷で萱野茂二風谷アイヌ資料館に寄る。
 アイヌ民族出身の故萱野茂さんがアイヌ民族の民族文化継承の場の確保を願い、身銭を切ってアイヌ民族の生活用品や民具を収集・保存した資料が展示されている。世界の先住民族、少数民族の資料も展示されている。

これから登ろうとしている幌尻(ポロシリ)は「大きな山」の由来を持つアイヌ語だ。

振内(フレナイ)から幌尻岳登山、とよぬか山荘の分岐標識を右に見送り、橋を渡って左折し、ニセウ川沿いを走るとニセウ・エコランドがある。綺麗なキャンプ場だ。今日は私達とテントが1張りだけのようだ。 私たちはバンガローを1棟借りた。コインシャワーも管理棟に有る。
 夕食のメニューはすき焼き、蚊取り線香をたき、お腹一杯に頂く。管理人さんから無農薬のトマトを沢山いただき、8時からのホタル鑑賞会のお誘いを受ける。

 8時、辺りの電源を落とし暗いなかで平家ボタルを探す。最初は何処にいるのか解らなかったが目を凝らして見つめると次々と現れる。ゲンジボタル程の華やかさはないが命を繋ぐ明かりがポッ、ポッと飛んでいる。そして人を恐れず指先にも飛んできて止まる。

 
 平取町のニセウ・エコランドキャンプ場  夜、平家蛍が飛ぶ 左や中央の光の点滅がホタル

7月17日(木) 晴
 朝食の後、2日分の共同食材料を分担して持つ事になるがトマト、キュウリ、調理用具等重たい物の殆を清水さんにお願いすることになる。申し訳なく思うが自分の荷物にも不安があり・・・・すみません。

 キャンプ場を後にシャトルバスに乗るため幌尻岳の登山基地にもなっているとよぬか山荘へ向かう。ここで舗装道からダートの山道を走るといきなり目の前が開け、山里が現れる。

 とよぬか山荘は廃校の小中学校舎を利用した宿泊施設と聞くが未だ集落に人は住んでいるのだろうか。シャトルバスに乗り50分程で第二ゲートに着く。そこはトイレ、蛇口、プレハブ小屋がある広場になっている。
 ここから暑くて長い林道歩きが始まる。奥幌尻橋、幌振橋、崩壊した断崖、落石注意の岩壁、名前の無い美しい滝、両側から陽を遮ってくれる木々、やがて歩き始めて2時間余りで北電の取水施設に着き林道が終わる。

施設の左横から額平川右岸沿いの登山道にはいる。まもなく大きな岩のヘツリを進む。鎖が取り付けてあり見た目程は怖くない。
 やがて最初の渡渉地点に着く。ここで沢靴に履き替える為、他のグループ人も止まっている。ついでに昼食を摂る。

 いよいよ水の中にソーッと足を入れる。思ったより水は冷たく無い。水位は川の流れの早く深い場所でも膝下位だ。底がフエルトの沢靴は滑る心配がなく選んだ石の上に安心して足を置ける優れものだ。緊張しながらもすり足を忘れずに左岸に無事渡る。そこにはこれからの渡渉用に使うように何本かの長い杖が置いてあった。
 大きな岩を越したり、ヘツリを歩いたりの連続だが、目印のペンキマークと木の枝に結び付けられたテープを見落とさないように左岸から右岸を繰り返す。やがて右岸の少し長い山道を歩き最後の渡渉をすると三角屋根の幌尻小屋に着く。取水場から約1時間15分だった。

   
 シャトルバスの発着する"ぬかひら山荘"    北海道電力の取水場
 
 額平川の遡行 へつり    渡渉
   
 幌尻山荘 この時期管理人が入っている    

 ブルーシートの上で」沢山の人が寛いでいる。受付と着替えを済まし、濡れた靴等を干して夕食の準備に取り掛かる。メニューは鰻丼、千切り大根の酢漬け、チクワの詰め物、味噌汁、栄養まで考えて全行程の献立を考えてくれた岡村さんに感謝です。

リュックや靴は1階に収納場があり山荘の中に持ち込めない。予約制宿泊制限のある小屋なので宿泊客はほぼ定員の3、40人だろうか。寝間は与えられた敷毛布1枚分のスペースだけで少し動くと人にあたりそうだ。

7月18日(金) 晴
 幌尻山荘横の登山道はいきなりの急登で始まり、ドドマツ、エゾマツの樹林帯の中をジグザグに登っていく。木の根が這って段差のある所や、ツルアジサイがきれいに咲いている所を登っていく。やがてダケカンバの明るい林になると左前方にきれいな三角形の戸蔦別岳の稜線が現れる。
 尾根に出てしばらく登ると「命の泉」の標識が現れる。左へミヤマダイコンソウの咲く山腹を下ると岩壁の割れ目から湧き出した水が苔を伝ってツウーと細く何本か流れている。冷たくて美味しい。
 水場から戻り急な尾根道をさらに登ると1740mピークに着く。その辺りからハイマツ帯の痩せ尾根に変わる。左下に北カールが見下ろされ、目の前に大きな山の塊がデンと現れる。小さな尖りが幾つか有り幌尻岳山頂がどこか解りにくい。1番高い所が山頂であろうと皆が一致するが高低が微妙でわかりづらい。北カールの縁を時計と反対回りの緩やかなカーブを進む。やがてチングルマ、エゾツツジ、エゾヒメクワガタ、ミヤマアズマギク等々多種多様の花の咲くお花畑が現れ足も止りがちになる。

  
 1740mピークから見た幌尻岳 手前は北カール 
   
 ミヤマアズマギク(キク科)    エゾヒメクワガタ(ゴマノハグサ科)
   
 ミヤマリンドウ(リンドウ科)    チシマギキョウ(キキョウ科)とユキバトウヒレン(キク科)
   
 ミヤマダイコンソウ(バラ科)    イワヒゲ(ツツジ科)

 ハイマツと岩のゴロゴロした道に変わりさらに登ると新冠コースと合流し、あと少しの登りで山頂に着く。まずは清水さんが用意した「祝百名山達成 幌尻岳登頂 大和勝次さん」と書かれた用紙を掲げて記念写真を撮る。大和さん、おめでとうございます。

 百名山の山頂にしては人が少なく静かだ。

 私は3度目の挑戦で山頂に立つことが出来た。2年前に新冠コースから山頂への計画を立てたが新冠町の町道が崩落土砂に埋もれて通行止めとなり断念した。5年前はチロロ林道から戸蔦別岳を越えて幌尻山頂を目指したが、霧と風の為に七つ沼迄来て撤退した。でも2つの断念があったから、天気の良い今日に渡渉コースを経て山頂に立てたので本当に良かったと嬉しく思う。その戸蔦別岳越えコースを日帰りと言う考えられない強行軍の人が登って来た。彼は証拠写真を撮ると復路のタイムを気にしていた。

     
 幌尻岳山頂にて 大和さんはこれで百名山達成    東カールを見下ろす 新冠川の源流にあたる
     
 チングルマ(バラ科)    エゾツツジ(ツツジ科)

 私達は時間の余裕があるので昼食をとり、ゆったりとした時間を過ごす。携帯も通じるようだ。

 復路は再度、お花畑を満喫して幌尻山荘に戻る。

 夕食のメニューは豆カレーとサラダだ。

7月19日(土) 晴のち曇
 幌尻山荘を後に往路を辿る。
 早朝のいきなりの渡渉で水温が心配だったが冷たくない。あんなに心配だった渡渉が楽しくなってきていたので気を引き締めてすり足で渡る。
 渡渉地点の流れの早そうな場所にはやはり渡渉用の長い棒が置いてある。

     
 額平川を下る    川岸に咲いていたカライトソウ(バラ科)

 とよぬか山荘3時発のバス乗車の人達だろう、渡渉半分地点位から会い始める。3時発のバスに乗る人は日帰りか1泊らしい。

 取水施設を経て林道に出る。又、長い林道歩きが待っている。
 ヒョウモンチョウ、ヒオドシチョウ、エゾシロチョウ等沢山の蝶に出会う。羽を閉じたヒオドシチョウ(?)が蝶のお花畑の様に林道を埋め尽くしているのを見る。何をしているのだろうか?

 往路の時、幌振橋の橋桁に空いていた小さな穴は真っ赤なペンキを塗った板(?)で補修されている。上ってくる人から奥幌尻橋下の沢に熊がいて反対の沢へ行ったとの情報を貰ったが私たちには熊は確認できなかった。

 第二ゲートに着く。シャトルバスの出発まで時間がたっぷりとあるのでコーヒーを沸かして飲む。その後にシャトルバスでとよぬか山荘戻るが、申し込んだバスに乗り遅れる人(?)がいるのに少し驚く。

車が鵡川町穂別に入ると清水さんが昔ここでもらった「穂別メロン」が美味しかった言っていた通りメロンのハウス栽培が多く見られる。農家の販売所で食べごろのメロンを1つ買う。そこで食事のできる店を教えてもらう。メタセコイヤ並木通りが美しい穂別でスッパゲティを食べる。

苫小牧イオンで夕食の買出しをして徳舜別山麓キャンプ場へと車を走らせる。途中の支笏湖は霧で全く見えない。

 徳舜別山麓キャンプ場は少し探したがすぐに見つかり、テントを2張設営する。トイレと炊事場のある広い場所だが、今日は私達だけのようだ。夕食の焼肉のあと、先に下見してある大滝町の町営温泉風呂に行く。新しい気持ちの良い温泉風呂だ。北湯沢温泉を探し地元の人に道を訪ねて偶然に知った温泉だ。

 テントに戻り、穂別で仕入れたメロンを皆で食べる。甘くてとても美味しかった。 (村上)

参加者 会員3名(清水、村上、岡村)、会員外1名(大和)

コースタイム

2014/7/16(水)
新千歳空港 /10:45
千歳市イーオン 10:55/11:50
ウトナイ湖道の駅(昼食) 12:30/13:10
平取町 萱野茂二風谷アイヌ資料館 14:10/14:30
ニセウ・エコランドキャンプ場 15:00
2014/7/17(木)
ニセウ・エコランドキャンプ場 /5:50 行動時間 5:10
とよぬか山荘 6:15/7:00 内歩行時間 4:20
第2ゲート 7:45/8:00 内休憩時間 0:50
取水場 10:20/10:25 徒歩距離 14.59km
第1渡渉点(昼食) 11:20/11:55 累積登高 736m
幌尻山荘 13:10 累積下降 393m
2014/7/18(金)
幌尻山荘 /5:35 行動時間 9:10
命の泉 7:15/7:30 内歩行時間 7:00
幌尻山頂(昼食) 10:15/11:05 内休憩時間 2:10
命の泉 13:05/13:20 徒歩距離 9.89km
幌尻山荘 14:45 累積登高 1360m
累積下降 1360m
2014/7/19(土)
幌尻山荘 /5:40 行動時間 4:20
第1渡渉点 6:40/7:00 内歩行時間 3:50
取水場 7:40/7:45 内休憩時間 0:30
第2ゲート 10:00/11:00 徒歩距離 14.59km
とよぬか山荘 11:45/12:00 累積登高 393m
穂別(昼食) 13:00/14:00 累積下降 736m
苫小牧市イーオン 15:00/16:00
徳舜瞥山麓キャンプ場 17:30/19:50
北湯沢(入浴) 20:00/21:00
徳舜瞥山麓キャンプ場 21:10


 
         幌尻岳トラック地図 1

 
            幌尻岳トラック地図 2


この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。

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