尾瀬山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・Ⅱ」登山クラブ

山行記録

尾瀬(個人)
20136月5日(水)~8日(日)
 今回会の例会として尾瀬の山行を計画したものの、参加希望者も少なく、希望者の都合のつく日にちが合わなかったため、清水のみの個人山行として実施した。
 尾瀬は鬼怒沼山、会津駒ヶ岳、そして田代山・帝釈山を含めこれまで11回訪れているが、ミズバショウやニッコウキスゲの咲く、ハイシーズンに尾瀬沼や尾瀬ヶ原を訪れたのは1978年以来のことである。
 特に鳩待峠や沼山峠にバスが大量に入り、首都圏から大勢の人達が簡単に来られるようになってからは、近づかないようにしていた。尾瀬の貴重な自然を守るには"その時期には行かないことがよいこと"をモットーにして積雪期の登山や山スキーそして周辺の山々を登っていた。

 まだ訪問者が少ない5月末にもう一度静かな尾瀬と、至仏山から奥利根源流の山々を見たいと思っていたが、都合がつかず結局6月に入ってしまった。
 今回は至仏山へ登り、奥利根の源流の山々を見るのが第一の目的だったが長蔵小屋へ宿泊予約の電話を架けると5月7日~6月30日までは高山植物保護のため至仏山への登山は禁止されていることが分かった。昔5月末に見た見事な展望の再現は不可能となり一気に気力が減退してしまった。やはり30数年振りということによる時代の変化と情報不足は痛かった。なにか他に魅力的な山旅をと思いをめぐらし、これまで行けてない奥日光へ通じる県境尾根と小渕沢田代や尾瀬沼の西側の湖岸ルート等へ行ってみることとした。山や滝などは今回はパスで時間的に、ノンビリできる。天気予報も雨の心配など一切必要ないようなものだったので、長躯、車ででかけた。

6月5日(水)夜~6日(木) 曇り後小雨
 5日の夜22時過ぎ出て、多賀SAで車中で泊まる。

 6日の朝から曇り模様、どうも前線が上がってきたようだ。5時過ぎ出発して関越道沼田インター経由、12時頃尾瀬入口の戸倉に着いた。家から625kmである。川の東岸の第一駐車場に車を停め、沼田から来る大清水行きのバスを1時間半以上待つ。大清水でバスを降りてそのまま三平峠へ向う。途中から小雨が降ってくる。この道はこれまで夜間に2度登って長い登りと感じていたが、昼間の登りではそれほど長い路ではない。ブナ林の新緑が美しい。小雨の中、峠の頂上から尾瀬沼湖畔へ下ると、対岸にうっすらと燧ケ岳が見えていた。ミズバシヨウの花などの写真を撮りながら行くとこの日の宿、長蔵小屋に着いた。
 部屋は8人のベッドのある部屋だったが、泊まり客は私を含め2名。平日がこんなに空いているとは驚きだ。
 大江湿原を散歩してから風呂に入る。温かくて本当にありがたい。夕食は北アルプスの小屋に比べれば素朴な感じだが、料金も安価なのでリーズナブルだ。

 
 尾瀬沼湖畔のミズバショウ    長蔵小屋付近からの尾瀬沼と燧ヶ岳

7日(金) 曇り後雨
 午前中は曇りで、小屋から尾瀬沼ヒュッテの脇を抜けて小渕沢田代へ向う。キャンプ地までは木道があるが、それから先は普通の山路で、半分は雪に覆われていて少し、ルートが分かりにくい。一週間前くらいに1,2人が通った踏み跡もかろうじて見られる。1時間余りで小渕沢湿原手前の桧高山(1932)北稜線に出る。大きなツガやダケカンバが茂っている。ミソサザイが甲高い囀りを繰り返している。ここから雪の斜面を注意しながら降りると小渕沢湿原に出た。2ヘクタールほどの湿原で、まだスゲの原が褐色のままで、ミズバショウが幾つか固まって咲いていた。南には日光白根山や四郎山等の奥日光の山々が見える。
 さらに県境稜線を東へ登り、電発記念碑に着き休憩する。側に鉄塔が立ち、切り開きの上空を奥只見の電力を関東に送る送電線が横切っている。もう少し東が見通せるところまでと言うことで、袴腰山(2042)の北まで行く。東の赤安山(2053)と黒岩山(2163)
はよく見えたが、それ以外の方向は展望はきかない。その先の湿原の山、鬼怒沼山へは昔、奥日光丸沼~日光沢温泉から登っている。鬼怒沼湿原に比べれば小渕沢田代も小さく、その周辺の県境尾根には湿原もなく平凡な感じだった。

 来た路を引き返し、ビジターセンターの前で昼食とする。この頃から雨がポツポツと来た。午後は尾瀬沼山荘を経由して尾瀬沼南岸、西岸ルートを取って沼尻に向う。雨は本格的になってきて時々近くで雷鳴がする。この路は北岸の路に比べ少し新しいが、起伏が少ないためこの頃はこちらを抜ける人が多いそうである。ずっと木道が続いているものの、雪が残っているため、初心者には怖いかもしれない。思ったより距離があり、ようやく沼尻に着く頃は土砂降りの雨となった。沼尻の休憩所で、小降りになるのを待つ。韓国からの30名近いパーティもここで雨宿りしていた。
 ここから尾瀬ヶ原見晴らし十字路までは、やはり木道ながら、登り下りもあり、雨でぬれた下りの木道は注意して通る。ブナの緑も雨に濡れてみずみずしい。途中3,40名の団体に幾つか会う。
 見晴らし十字路では第二長蔵小屋に泊まる。ここでは横須賀から来た小学3年生とその祖父他計4名が同室でのんびり泊まれた。

 
 小渕沢田代     小渕沢田代


8日(土) 曇り後晴れ
 朝7時くらいまで雨が残ったが、すぐに上がるとのことで、ゆっくりと宿を出た。ミズバショウもリュウキンカも少し咲いていたものの、殆どは枯れ草の原である。原を囲む山裾は白樺等の木々が新緑となっている。
 少し行くと沼尻川の木の橋を渡る。川の両岸は拠水林になっていて緑が濃い。昔は小さな小屋だった竜宮小屋も立派なものになっている。そのそばの十字路付近はリュウキンカの群生がきれいに花を咲かせていたのだが、随分と貧弱になっていた。
 中田代の木道をずっと行くとやがて下ノ大堀川に出る。至仏山をバックにミズバショウの花の広がりを撮る好ポイントとして知られているミズバショウの群生地である。
 小山を南から張り出した牛首の手前の休憩地で少し休んで、パンなどをかじる。 この辺から私とは逆に東へと向う人達が増えてきて、切れ目もないようになってくる。木道は左右2本あるので、邪魔にはならないが、騒がしい感じがしてくるのは避けられない。
 下田代に入ると池塘の密度も増し、景色もよい。どれが浮島かと指差している人達もいる。
 やがて山の鼻に着く。尾瀬ヶ原の西の端の静かなところだった昔の面影はなく、、今日の土曜日、鳩待峠から降りて来た多くの人達で混んでいた。少しの休憩の後、北側の植物研究見本園の周遊木道へ行ってみる。これも私の知らなかった新しいところだ。見本園とは言っても、人工的に植栽しているのではなく、自然の群生地を保護して、見られるように木道をつけたものだ。今回の尾瀬のなかでは最もミズバショウが広く、多く咲いていて見事と言うほかない。リュウキンカも木道沿いに咲いていた。
 
 山の鼻から鳩待峠までは対向するエンドレスの大行列を見ながら登る。こうした雑踏とも言える雰囲気の中、尾瀬を楽しもうとする人達は気の毒というべきか、それとも静かな山旅を楽しむために、もう少し平日に休みを取るように努力できないのかというべきかなんとも言いようない。
 鳩待峠には観光バスが40台余り並んでいた。納得。尾瀬の宿泊キヤパシティは2000人程度で、日帰り客を含めそれを大きく上回る人数の客が押し寄せているわけである。
 久し振りの尾瀬だったが、自然はよく守られていてよかったものの、最後のこの人の多さだけはなんともいただけない。なんらかの対策を立てられないだろうかと思いながら帰路についた。 (清水)

 
 上田代牛首付近の池塘群    上田代牛首付近の池塘群と燧ケ岳
 
 植物研究見本園のミズバショウ群生    植物研究見本園のリュウキンカ
   
 植物研究見本園のミズバショウと至仏山    


コースタイム

6/5(水)夜~6/6(木) 6/7(金) 6/7(土)~8(日)朝
川西 22:00 長蔵小屋 6:30 見晴十字路 7:40 高速料金5,950x2=11,900
中国豊中IC(12km) 22:30 小渕沢田代 8:00/8:10 竜宮 8:00 宿8,500+8,400=16,900円
多賀SA 23:40/5:10 電発記念碑 8:35/8:55 中田代三叉路 8:50/9:00 ガソリン 1250km*146円/12km=15,200
恵那SA、姨捨SA 腰袴山北 9:20/9:40 山ノ鼻 9:45/10:05
横川SA 電発記念碑 9:55 研究見本園 10:10/10:40
沼田IC(588km) 11:20 小渕沢田代 10:15/10:20 鳩待峠 11:30/11:35
戸倉 625km 12:05/13:46 長蔵小屋 11:15/12:00 戸倉昼食入浴 625km 11:55/13:30
大清水 14:00 三平下 12:25/12:30 吹割ノ滝 13:50/14:10
一ノ瀬 14:50/15:00 皿伏山分岐 13:00 沼田IC(662km) 14:45
三平峠 15:55/16:00 沼尻 13:45/14:00 赤城高原SA、横川SA
長蔵小屋 16:35 燧ヶ岳分岐 15:15 姨捨SA、養老SA
見晴十字路 15:25 多賀SA
中国豊中IC(1238km) 0:10
川西 1,250km 0:35
距離9.8km 距離18.7km 距離10.8km
登り666m 登り849m 登り449m
下り174m 下り1128m 下り265m


 
                                   尾瀬トラック地図

この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。


山行記録トップへ

「山があるクラブ・Ⅱ」 HOME