大朝日岳個人山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・Ⅱ」登山クラブ

山行記録

大朝日岳(1870m)個人(岡村)山行記録
2016721日(木)~2016725日(月)
コース 朝日鉱泉~鳥原山~小朝日岳~大朝日岳(小屋泊)~御影森山~上倉山~朝日鉱泉

7/21 難波20:20(夜行バス)
7/22 (夜行バス)仙台8:27 仙台駅10:07 北山形駅11:23/11:59 左沢駅12:40/13:00 (バス) 朝日鉱泉14:20
7/23 朝日鉱泉5:10 弘法水5:20 中ツル分岐5:25 3等三角点(993m)6:50 金山沢7:15 鳥原山・古寺鉱泉分岐8:40 鳥原神社8:45/9:15
     鳥原山展望台9:50/10:10 小朝日岳(1647m)11:50/12:20 銀玉水13:50/14;05 朝日嶽神社奥の院14:45 大朝日小屋14:55
7/24 大朝日小屋6:00大朝日岳(2等?)6:15/6:40 平岩山(1609m1等)8:00 大沢峰水場8::45/8::55 御影森山(1534m3等)9:55/10:00 
   クロベ巨木分岐
11:20 クロベ巨木11:30 クロベ巨木分岐11:40 上倉山(1144m)11:45 中ツル分岐13:00 鳥原山分岐13:05 
     
弘法水13:10 朝日鉱泉13:20/14:30 (バス) 
   左沢駅
15:50/16:16 北山形駅16:52/16:56 仙台駅18:15/19:30 (夜行バス)
7/25  大阪10:20

722日(金)曇り
 秋の朝日連峰を縦走してみたいと思いながらも年月が経ち、その機会もなく体力に自信もなくなっていた。昨年同行してくれる山仲間が見つかり、夏の短い期間、左沢駅から朝日鉱泉まで登山バスが運行されているので朝日鉱泉から周回しようということになった。

 日帰りするには距離が長く自信がなかったので頂上直下の大朝日小屋に泊まることにしたが、普段の山行ではデイパックが殆どなので避難小屋に一泊するための寝具と食料を持ち上げるには不安があった。めったに使わないガスとコンロ、シュラフなどを出してきてリュックに入れてみるとずいぶん重くなった。
 計画していた日程が近づいてきても東北地方の梅雨は空けず、天気予報は良くなったり悪くなったり安定しない。日程変更しようかどうしようかと迷っていたが前日に天気が良い方に変わってきたので予定通り出発した。夜行バスで仙台まで行き、仙山線に乗り左沢駅へ。迎えに来た登山バスに乗ったのは私達二人。朝日鉱泉ナチュラリストの家に着くと、車で横浜から来た4人グループが降りてきて私達と同じコースを登ると言う。
 朝日鉱泉の西澤さんが鳥原山と中ツルコースがお勧めだと詳しいコース説明をしてくれた。今日は時間がたっぷりあるので庭でティータイムをして、ゆっくり鉱泉に浸かり、二人では広すぎる部屋で明日の準備をして、夕食をいただいた。メインは大きな岩魚のエスカベッシュタルタルソースかけ、山菜、きのこを使った料理数品と西瓜のデザートまで付いたご馳走だった。泊り客は横浜から来た
4人と縦走してきた男性一人と私達だけだった。その男性が今日の天気予報は良いはずだったが、朝日岳は見えなかったと言う。明日の天気予報も良いが山の上はどうだろうか?天気が良ければここから朝日岳の山頂が見えるはずだが、今日は見えていなかった。

朝日鉱泉 

723日(土)晴れ
 朝起きると部屋の窓から朝日岳が姿を見せていた。昨晩作ってもらった朝食用の大きなオニギリを一つ食べてから出発する。ナチュラリストの家から坂を下り、吊橋を渡ってから山道へ入る。すぐに弘法水の水場があり喉を潤し、中ツルコースとの分岐を過ぎて豊原山の方へ向かう。いきなりジグザグの急坂を登ること30分、感じの良いミズナラの林だが、久しぶりに担ぐ大き目のザックはズシリと重く、腰に負担がかかり、日頃から腰痛持ちなので小屋まで無事に行けるのかどうか早くも不安になってきた。
 大きなブナやミズナラのある尾根道になり、
993mの三等三角点を過ぎて少し下ると金山谷に出合う。5m位の川幅で赤いペンキ印のところを岩を伝って渡った。ブナ林の緩やかな登りが続き、木道が出てくると鳥原湿原も近い。木道のすぐ左横に小さな池があり、その向こうに形の良い山が見えた。朝日岳の山頂だろうか?他の山だろうか?前方の高みには鳥原山の避難小屋が見えた。
 鳥原湿原に着くと道標があり鳥原小屋の方へ行く。赤い鳥居をくぐると見晴らしの良いところに靈山朝日嶽神社、鳥原避難小屋、ベンチがある。雲の向こうに見えているのは飯豊連峰だろうか。鳥原小屋は頑丈そうな綺麗な避難小屋で広くて快適に過ごせそうだった。小屋の横から鳥原湿原が見通せ、同宿だった4人組が休憩しているのが見えた。鳥原山に行く道を探したが見つからず、湿原のところへ戻って道標をよく見ると鳥原小屋の隣に大朝日岳と書いてあった。曲がらずに真っすぐ行くところを寄り道してしまったようだ。

 鳥原山の山頂は通らず鳥原山展望台に着く。同宿の4人組が休憩していた。右方には雲の向こうに沢筋に雪を残した形の良い岩手山が見えた。正面には小朝日岳、大朝日岳が大きく見える。雪は少ないようだ。天気は良いが雲が動いて全容が見えたり隠れたりした。山頂避難小屋も小さく見え、まだまだ先は長いと思い、朝食用の残りの大きなオニギリを食べて元気をつける。
 一旦下って小朝日岳に登りにかかる。小と言っても結構登りごたえがある。荷が重いので下向きがちに歩いていると赤い実を見つけた。口に入れると甘酸っぱく美味しい苺、よく見れば葉の下に隠れるようにしてたくさん実が成っている。しばらくノウゴウイチゴ畑が続き、歩きながら次から次へ口に入れた。岩の多い急な登りになりロープが付いているところもあった。

   
ノウゴウイチゴ(バラ科)の群生     

 小朝日岳に着くと古寺鉱泉から登ってきた人達が居た。古寺鉱泉からの方が歩く距離が短いので利用する人が多いようだ。急坂を下るとまた古寺鉱泉への分岐があり、古寺鉱泉から来た登山者と出会う。ダケカンバが目立つようになり、前方に朝日岳のY字雪渓が見えてきた。
 「ヒメサユリが咲いている」と先行者の声が聞こえ、写真を撮っているところに行ってみると2輪咲いていたが、時期が遅いのかちょっと元気がない。少し先にも咲いているところがあったが数も少なく同じような感じだった。ポスタをーなどでよく見るY字雪渓とヒメサユリの写真を撮ったが雪渓の雪も少なめでヒメサユリも少ししか咲いていないので何か物足りない感じがした。
 朝日鉱泉からの登山者は同宿の6人だけだったが、このあたりからは下ってくる登山者とたくさんすれ違うようになった。小学生から大人まで幅広い年齢層の地元のグループが次から次へと下ってきた。軽装なので古寺鉱泉からの日帰りと思われる。
 銀玉水は稜線上の道から少し下ったところにあり、水はバケツを受けて豊富に出ていた。「おいしい水なので必ず飲むように」と昨日西澤さんが言っていたとおりでコップに何杯も飲んだ。山の斜面にはニッコウキスゲ、谷間にはキンポウゲがたくさん咲いているのが見えた。ここで水を汲んで荷を重くするのはつらいので小屋についてから手ぶらで金玉水を汲みに行くことにする。
 雪渓にも近づいてきて小屋はもうすぐだと思うのだが小さな登り下りを繰り返してもなかなか小屋が見えてこない。道の両側はお花畑が綺麗で写真を撮るために左右へ移動し、時間を費やしてしまった。ヒナウスユキソウ、チングルマ、ヨツバシオガマ、ミヤマリンドウ、マツムシソウなど、どの花も生き生きと咲いている。

 
コキンレイカ(ハクサンオミナエシ)(オミナエシ科)  銀玉水
 
ミヤマリンドウ(リンドウ科)    ハクサンイチゲ咲く尾根路 
 
ヒナザクラ(サクラソウ科)     チングルマ(バラ科)

 朝日嶽神社奥の院を通り過ぎ、小さなケルンが積まれた先に大朝日小屋があった。無事到着したので小屋前にある鐘を鳴らしてみた。周囲にはミヤマシシウドがたくさん咲いている。
 小屋は3階建てで1階に荷物を置き、2階と3階が寝床である。「遅くなると3階だから早く行って場所を取っておいて」と途中で出会ったグループに言われたがお花畑でゆっくりしている間に追い越され、小屋に着いたらその人達は2階で私達ははしごを登った3階だった。
 1階で荷物の整理をしていると管理人の阿部さんが「この人達は外食するそうだからここのスペースを使って食事していいよ」と話しているのが聞こえてきて「えっ?どこかにお店があるの?」と聞くと外で食べることを外食と言っているのだと分かり、大笑いした。疲れていたが腰を落ち着ける前に炊事用と明日の飲水を汲みにいかなければと金玉水へ向かう。縦走路に向かって雪渓のほうへ下っていく。
 小屋から往復
20分程度でお花畑を散歩しながらブラブラ歩ける。雪渓が解けたところにヒナザクラがたくさん咲いていた。東北にしかない花だと教えてもらう。チングルマの花も2回咲くと聞き、2回目は小さめの花らしいが区別がつかなかった。
 銀玉水も美味しかったがここも雪解け水でとても冷たくておいしい。たっぷり飲んでから汲んでいく。

 小屋に戻って私達も外食する。中華丼と野菜のヘルシーな夕食、すぐ後ろで若い男の子達が料理を作っていた。食事係の指示通りに皆で手際よく作っている。メニューを聞くと、チャプチェと胡瓜と竹輪の和え物とご飯だと言う。ご飯の炊けたいい匂いがしておかずも出来上がるとクラブの新人らしい女子が一人やってきて皆の輪の中にチョコンと座って食べ始めた。微笑ましい風景だった。
 山頂を見上げるとうっすら赤みを帯びていた。10分ほどで山頂に登れるのだが気力が出ず、明日登ることにする。日本海が赤く焼け、雲の上に浮かぶように鳥海山と月山、蔵王連峰が姿を見せていた。明日の天気も良さそうだ。

 
大朝日小屋    北西方、暮れ行く寒江山 右手前は中岳 

7月24日(日)晴れ
 オレンジ色に焼け始めた空は刻々と色を変化させ、雲が薔薇色に染まりとても美しい色合いを見せていたが、ご来光を拝むことはできなかった。雑炊を食べてから出発する。
 ここから山頂へはひと登りで、ウスユキソウがたくさん咲いていた。細長い山頂には誰もいなかったので西朝日岳から北へ続く縦走路、飯豊連峰、祝瓶山などゆっくりと展望を楽しむ。
 中ツルコースを下る予定で道標を探すが見つからない。西澤さんが「山頂の道標は分かりにくいが展望盤の下の方に小さく書いてあるからよく見て」と言われたのを思い出し、もう一度辺りを見回したが分からなかったので、磁石を使って方向を確認する。
 単独の登山者が御影森山コースの方へ下っていくのが見えた。山頂で一緒になった双子の男性二人も御影森コースを下るという。天気がいいので私達も展望の御影森山コースを下ることにした。中ツルコースは時間的に余裕があるが、御影森山コースは距離が長いので鉱泉に入る時間はないかもしれないがバスの時間には間に合うだろう。
 ガレて石がゴロゴロした斜面にポールが立っているのでそれを目当てに下る。滑りやすく足元ばかり見ていたらいつのまにか少し左にコースを外してしまっていた。一歩踏み出すたびにずり落ちるのでこれでは先が思いやられるので登り返して初めの予定だった中ツルコースにしようかと思ったが、もう少しで鞍部に着くのでゆっくり行こうとトラバースしてコースに戻った。道が緩やかになると平たい岩が点々と立っているお墓のような景色が続く。振り返ると朝日岳が大きい。祝瓶山への分岐を過ぎるとすぐに棒が2本立った三等三角点のある平岩山の山頂に着く。小さなピークである。ハイマツの道になり、その後はジェットコースターに乗っているようなアップダウンを何回も繰り返す。目の前のピークを越えてもまた次ぎのピークが現れた。草は刈ってあるが、歩く人は少ないようで誰にも会わない。大沢峰に着くと御影森山から来た登山者と出会ったが疲れているようで言葉を交わさなかった。

 御影森山コースで大朝日岳に登るのは水場も少なくとてもしんどそうだ。水場へ下る細い道があったが、下って登るのが億劫なので水筒の水で水分補給した。ようやく御影森山に着いた。狭い頂上で三等三角点があった。祝瓶山が見えたが朝日岳は雲が上がってきていたので見えなかった。
 細い尾根道は所々ガレていて滑らないように慎重に下る。ブナの森が続き、急坂を下ったあとは緩い登りになり、クロベの巨木
250mと書いた小さな板を見つけ、左の小道に分け入ると、クロベの巨木があった。元の道に戻り少し登れば道の途中にある上倉山山頂に着いた。松の木がある狭いピークである。気持ちの良いブナ林が続き、道のすぐ横の湿地に水場があったので水を飲む。どんどん下って吊橋を渡り中ツルの分岐を過ぎ、鳥原を山の分岐を過ぎ、弘法水でまた水を飲み、吊橋を渡って坂を上がれば朝日鉱泉に着いた。入浴し荷物の整理をするとすぐにバスの時間になった。大朝日小屋に泊まっていた人達も一緒のバスで左沢駅まで賑やかだった。左沢駅から仙台に行き、夕食後夜行バスに乗り帰阪した (文、写真 岡村)

 
黎明の北方の展望 手前右は小朝日岳、
遠方中は月山、遠方左は鳥海山
  ヒナウスユキソウ(キク科)  
 
きれいなピラミッド、大朝日岳    クロベの巨木 

 
大朝日岳トラック地図 
 

参加者    会員1名 岡村 会員外1名 計2名

山行記録トップへ

「山があるクラブ・Ⅱ」 HOME