南アルプス 鋸岳山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・Ⅱ」登山クラブ

山行記録

南アルプス 鋸岳山行記録 個人山行
919日(土)~21日(月)
 信州側から北岳、仙丈ヶ岳あるいは甲斐駒ヶ岳へ登る際、北沢峠へのバスからも見える甲斐駒ヶ岳の北側にジグザクのスカイラインを描いているのが鋸岳だ。気になる山ながら、最も順当な登山路の甲斐駒ヶ岳からの稜線の路はもろい岩場やガレが続き、かなりの危険性のあるコースとして知られている。
 ザイルや金具の携帯やそれなりのパートナーが求められるものであった。
 ところが最近の知見として、長い林道歩きや1200mもの急登は必要だが、比較的安全に登れるコースがあることが分かった。釜無川を遡り横岳峠を経るコースで少数の人が使ってるらしい。
 今回会の例会として企画したが、途中で都合が付かないひとも出てきて、結局個人山行として実施した。。

919日(土)晴れ 

 朝6時35分発。大連休、シルバーウイークの初日とあって何回も渋滞に遭うが、特に急ぐ必要もなく気楽に運転できた。途中駒ヶ岳SAで休憩し、長野県特産のブドウ、"ながのパープル"ひと房を買う。比較的新しい品種で県外ではなかなか手に入れにくいものだ。
 次いで諏訪湖SAで昼食とした。諏訪南ICで降りるところを勘違いして諏訪ICで降りてしまい、国道20号を走って富士見町で釜無川の林道に入る。穴だらけの道は埃っぽくそこを砂利を積んだダンプが時々対向して砂を舞い上げる。
ゲートの手前に3台ほど乗用車が停めてあり、これ以上停められないので300mほど戻って広いスペースに駐車した。標高900m地点だ。
 左下の河原は砂利の採取場そして右上の山の斜面は石灰石の採取場でどこも白い粉を被っていた。
 
 ここから釜無川左岸を約10km行く。道の端にはフジアザミと背の高いブッドレア(フジウツギ 藤空木)の花が咲いている。ブッドレアは庭に植えられている園芸植物だがなぜかここでは野生化して大きく成長して赤紫の穂状の花を付けている。林道は後半は砂利だが、前半は舗装されている2車線の道だ。その後フジアザミは増えて、川の法面いっぱいフジアザミで覆われている様は見事としか言いようない。中間部で一旦右岸に渡るが、その後はまた左岸を行く。少し先で中川林道を左に分ける。道には500m毎に標識があり分かりやすい。
 やがて谷の奥に横岳が見えてきて、さらに行くと林道の終点の砂防工事現場となり、今日の目的地であるロッジの赤い屋根が見えてくる。

   
ブッドレア(フジウツギ 藤空木) (ゴマノハグサ科)   フジアザミ(キク科) 日本で最大のアザミ 花径7cmもある 
   
フジアザミ(キク科)    釜無し林道終点周辺 背景は横岳 ショベルカーの
左にロッジが見える 

 林道の終点で橋を渡り、ロッジ(1534m)へ降りる。何か白いものが草の中に見えていたが、近寄って見ると大型動物の背骨と肋骨だった。鹿だろうか。
 ロッジは施錠されていて、川に面したベランダの下に「避難所としてご利用ください。」と書いてある。暑い板の床と天井はテントを張るには絶好の場所だ。テントを張り、川に水を汲みに下る際、足元に赤いナデシコの花が何株か咲いていた。園芸用のナデシコに似ていて初めて出会った花だった。「シナノナデシコ」という名を帰ってきてから調べて知った。
 ビールを飲み、食事を始める頃は夕闇が迫っていた。

 
ロッジ ベランダの下のテラスにテントを張る    シナノナデシコ(ナデシコ科) 

920日(日)晴れ
 ラーメンの朝食を取ってからテントを出る。
 時間は5時15分谷の底はまだ薄暗く、潅木と流れの中の石ころのわかりにくい路をたどる。やがて路は流れの左岸のはっきりしたものとなる。少し行くと「富士川水源」の木のプレートが木の幹にかかっていた。それからまた登るともうひとつ水源の標識があり左に小さな路が伸びていて、左側の流れに行ってるらしい。これからは右の路を横岳峠めざしてぐんぐん登る。標高差350mの登りだ。 
 横岳峠(1980m)にはしっかりした行き先標示が立っていた。そして横岳側に緑のテントがひとつ張られていた。中に人はいないようだった。

   
富士川水源のプレート     横岳峠 

 峠からひと登りすると緩やかな稜線の路となる。三角点までの登りで唯一緩やかなところだ。しかし針葉樹の林の中で展望はほとんどないが一ヵ所仙丈ヶ岳とその左に北岳が見えたところがあった。そしてまた標高差450mの急登となる。長く苦しい路だが路ははっきりしている。
 キノコがたくさん出ている。はっきり食キノコと分かるヌメリイグチもいい株がいくつもあったが、先を急いだ。
 三角点手前の標高2500m近くになると潅木帯に入り、右前に鋸岳第一高点(2685m)が手前の岩場の向うにそびえ立っているのが見えるようになる。
 三角点近くは少し分かりにくい。第一高点への路が最も高くなる点の左に大きな岩があり、これを越えるとの三角点に通じる踏み分けがある。今回はその分岐点を10mほど通り過ぎて「三角点へ」と書いたプレートから左に入ったが路はなく左上によじ登る感じで先の岩と三角点を結ぶ踏み分けに出た。三角点(2607m)自体は地味なものだった。

   
登山路から見た北岳(左)と仙丈ヶ岳    三角点ピーク近くから第一高点を望む 
     
鋸岳三角点(2607m)     

 大岩のそばの分岐点に戻りここから第一高点に向う。最初は岩とガレの下りで右下へは角兵衛沢がガレ場となって落ち込んでいて緊張するところだ。次いで角兵衛沢の上を行く細い稜線を通り、もうひとつ2600mの小ピークを越えて下ると最後の第一高点ピークの急な登りとなる。傾斜はきついが木の株や枝もそして岩のホールドもあって怖いことはない。
そして岩の間を抜けると山頂に出た。意外に広い感じだった。
 三角点の手前でさっと抜いて行った50台の男性が休んでいた。「さっきまでは展望もあったのに」と彼が言うように周りは一面のガスに包まれて何も見えない。先に帰路についた彼を送ってからひとりここで昼食とする。楽しみにしていた「ながのパプール」の大きな実が喉をうるおしてくれる。酸味のある果物は私の山には必須のものだ。
 南側の駒ヶ岳からのルートからひとの声が聞こえて、ハーケンだろうか金具の音が聞こえてきた。ガスが少し切れて、ポコポコとした稜線の峰々が見えてきた。そして3名の登山者がふたつ向うのピークからこちらへ向っているのが見えた。

   
鋸岳第一高点(2685m)    第一高点から甲斐駒ヶ岳側のピーク群を見る 
     
第一高点から三角点ピークへの稜線     

 30分程頂上にいた後帰ろうとすると、もうひとりの登山者が登ってきた。写真を撮ってもらって元の路を引き返す。稜線の小ピークを通り過ぎて下るとき、石を並べてあるのを踏み越えて下ると、なにか来るときには通らなかった気がした。GPSで確かめると果たして、途中右に曲がって水平に行くところを20mほど真っ直ぐ下っていた。
戻ると石を並べたところでハイマツの中に正しい路があったが、ハイマツに覆われていて分かりにくい。下った路は昔葉路だったようで古い道標も残っていた。

 三角点ピークまで戻れば、危険なことはないと思って安心していたが、下りの急坂がずつと続くのと、割りに細い隠れた木の根が路を横断していて、ツルッと何度も尻餅ついた。足が揃ったまま滑ったり前後に開脚したままで滑ったり、あまり経験したことのないようなよく滑る路だった。捻挫や骨折はかなわないと慎重を期したがそれでもよく滑った。

 横岳峠では、テントのひとが戻っていて話を聞くと、三角点ピークの東に張り出した編笠岳へ行ったとか。この山、知らなかったが翌日富士見町から見ると結構目立つ山だった。
 
 ほぼ予定の14時にロッジに戻った。着くのが遅ければもう1泊も考えていたが、これなら下まで戻れるそして温泉に入って、ビールを飲んで、うまい食事もできる。テントをたたんでパッキングしていると頂上に後から登ってきたひとが戻ってきた。新潟からこの山をめざしてやって来たらしい。もうひとりのひともそうだったがゲートにくるまを停めて夜明しして早朝からのピストンだったとか。
 この新潟のひとに少し遅れて出発し、ただただ林道を下る。帰り路でこの林道が距離10kmに対し標高差600mの下り、意外に傾斜があったのに気がつく。楽だったがとにかく長い路だった。

 車に戻ってから富士見町の国道20号の道の駅「蔦木宿」iに行き、併設の温泉で入浴そして昼食し駐車場で夜を明かした。この道の駅は私と同じような考えのドライバーの利用が多いらしく、広い駐車場はずっと満車だった。

921日(月)晴れ
 この朝富士見高原から富士山を見てみようと出かけた。富士が望めるところは有料の「富士見高原リゾート」の高台で、11時から運行のリフトに乗らないとダメということで富士山を見るのはあきらめ、西側の甲斐駒ヶ岳~鋸岳の姿を見て昨日の山行を振り返ってみた。朝もやがかかった状態だったが、鋸山第一高点、三角点ピークそして編笠岳がはっきりと見えた。
 
 諏訪ICから高速に乗り自宅へは14時過ぎに帰ることができた。 (清水)

富士見高原から甲斐駒ヶ岳と鋸岳を望む
右端は編笠岳、三角点ピークそして第一高点と続く

コースタイム

9月19日(土) 9月19日(土)
釜無川入山駐車場(900) 13:50/14:05 所要時間 3:05 川西市 6:35
林道ゲート 14:15 歩行時間 3:00 中国豊中IC 6:50
休憩(1200m付近の橋) 15:50/15:55 休憩時間 0:05 吹田~京都東まで渋滞
ロッジ(1534 テント泊) 17:10 歩行距離 10.78km   養老SA、駒ヶ岳SAで休憩
累積登高 698m   諏訪湖SAで昼食 12:05/12:40
累積下降 87m 諏訪IC 12:50
  国道20号
9月20日(日) 釜無川林道 13:30
ロッジ(1534) 5:15 所要時間 11:50 釜無川入山駐車場(900) 13:45
富士川源流標識(1740) 5:50/5:55 歩行時間 10:10
横岳峠(1980) 6:40/6:50 休憩時間 1:40
2430m地点 (休憩) 8:20/8:25 歩行距離 20.16km 9月20日(日)
三角点分岐 8:50 累積登高 1731m 釜無川入山駐車場(900) 17:05/17:15
三角点(2607) 8:55 累積下降 2354m 富士見町
三角点分岐 9:00 同町 道の駅「蔦木宿」 18:00
角兵衛沢コル(2520) 9:15   入浴、食事、車中泊
鋸岳第一高点(2685) 10:05/10:35
角兵衛沢コル(2520) .ルート間違い 11:00/11:10
三角点分岐 11:30 9月21日(月)
横岳峠(1980) 12:50/13:00 道の駅「蔦木宿」 5:40
富士川源流標識(1740) 13:25 富士見高原 6:10
ロッジ(1534) テント撤収 14:00/14:30 諏訪IC 7:35
中島沢手前(休憩) 15:35/15:40 諏訪湖SA 7:40/8:50
林道ゲート 16:55  食事、買い物
釜無川入山駐車場(900) 17:05/17:15 駒ヶ岳SA 9:15/9:35
 小牧~大垣の20km渋滞
19日~20日合計 所要時間 14:55 多賀SA 12:15/12:30
歩行時間 13:10 桂川PA 13:10/13:25
休憩時間 1:45 中国豊中IC 13:55
歩行距離 30.94km 川西市 14:25
累積登高 2429m
累積下降 2441m


 
鋸岳トラック地図 
 
鋸岳トラック地図 ロッジ~第一高点間 

この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。

参加者    会員1名(清水)


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