西穂高から奥穂高縦走の山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・U」登山クラブ

山行記録

西穂高岳〜奥穂高岳縦走

2011915日(木)晴 

長年「大丈夫、無理」と自問自答を続けた西穂高岳から奥穂高岳の縦走へと列車に乗り込む。自信と不安の諸々が交錯していた私から「一緒に行こうとは言えないけど同じ時間に同じ場所を歩いていても別にいいんじゃない」と意味不明な言葉を浴びせられ、昨夜まで迷っていたという山友も来ている。やはり心強い。 

新穂高温泉から1回乗り継ぎ西穂高口までロープウェイで昇る。笠ケ岳、抜戸岳への稜線を真正面に見ての空中散策だ。西穂高口からは暫く広い遊放道を進み、やがて山道へ入る。気持ちは明日の縦走にはやり樹林帯の中をどんどん進むと瞬く間に赤い屋根の西穂高山荘に着く。休日でもないのに多くの登山者がいる。

宿泊名簿兼登山計画書を書き明日の天気を尋ねると高年齢の女性2人だからか、小屋の人の心配そうな顔や危険を知らせる遠まわしな言葉が返ってくる。胸にグサリと突き刺さるが、変に自信が湧いてきて気持ちが折れない。

 916日(金)晴

ヘッドランプを付け小屋を出発する。御来光を迎えに行く人達か、奥穂高岳への縦走者なのかユラユラと登る灯りが幾つも先を行く。困ったことに、丸山を過ぎた頃から頭が少しふらふらして平行感覚が怪しくなる。西穂岳に着いても治らないなら引き返そうと決め薬を飲む。遠く東南に富士山が朱に染まりここより一足早く夜明けを迎えている。ここは未だ暗闇だ。体調を気にしながら歩いていると、まさに夜明けを迎えようとしてる独標に着く。

独標から西穂高岳までは大小13のピークを越え、直下鎖ややせ尾根の連続と言うが難なく山頂に着く。ここで朝食タイムにする。と言ってもその前からズット食べながら歩いていたのだが。南南西に焼岳、その後ろ一直線に乗鞍、御岳山が連なって見える。

 薬が効いたのか体調も良いので、いよいよ予定通り核心部へと入る。心が浮き立ち思わず弛む頬に気を引き締め直しガレ場を下って登り赤岩岳へ。さらに垂直に近い岩場を下り、浮石だらけの急坂を登ると岩にペンキで間ノ岳と書かれた山頂に着く。 

間天のコルからは逆層スラブの斜面をホールド、スタンスに気をつけながら天狗の頭を目指す。こんな所を登れるのかと思うが鎖もあり登り始めると問題はない。山頂から振り返ると今越えてきた岩屑を寄せた様な間の岳が力強く聳えている。前方はジャンダルムへと続く岩稜帯だ。這い松のジグザク道を下り最後のオーバハング気味の所を鎖にぶら下がる様に跳ぶと天狗のコルに降り立つ。岳沢への分岐標識が立ち天狗コルの小屋跡がある。 

下から見上げると逆層の岩が累々と上に伸びている。さらにその先はルンゼ状の登りが待ち受けている。ため息が出る。石を落とさないように注意しながらの長いのぼりにうんざりする。そして大きな岩を乗り越える。やっとコブ尾根の頭に出る。それを越えると下りはほとんど垂直。降り立った所がジャンダルムのコルだ。天狗のコルからは本当に体力を消耗し、辛く危険な登下降だった。リュックをデポし、いよいよ焦がれたジャンダルム山頂へ。西穂高岳側から見るジャンダルムはお世辞にも格好よいと言えないが、やはり山頂に立った時は長年の夢が叶い感無量だった。360度の展望に槍ケ岳をはじめに山座同定する。ここまで来ると、奥穂高岳へのめども立ち気持ちが楽になる。

 下からガスがかかりだしたので名残り惜しいが山頂を後にする。トラバースし奥穂高岳側に来ると雑誌や写真と同じジャンダルムの姿が現れる。うっとりと見とれる。奥穂高岳まではロバの耳(分からないままトラバースしてた)馬の背(ナイフリッジの難所といわれる)を越えるのだが、特定できないまま難なく奥穂高岳に着いてしまった。全てが厳しいルートだったので麻痺してしまったのだろう。ここでも余念なく山座同定をする。

穂高岳山荘までの道は北アルプスで最も厳しい岩稜縦走を果たした後は遊歩道のようだ。

917日(土)雨

吊尾根から前穂高岳の予定を雨の為に変更し、ザイテングラードから涸沢小屋、横尾、徳沢、明神、上高地へと下る。一歩下る度に人が増え賑やかになってくる。
 上高地インフォメイーションセンターでシャワーを浴びる。さっぱりして気持ちがよい。

ガレ場、ナイフリッジ、逆層スラブ、これでもかと繰り返される登下降、鎖の無いトラバースと難所がてんこ盛りの縦走道だが、ホールド、スタンスはとれる。なにより持久力を必要とする、一時も気の抜けないコースだった。又、一般ルートなら絶対に進まない難路に「コースを外れたのでは」と不安になる。本当にルートファインデングが難しかった。

無事に歩かせてくれた天気、峰々、同行してくれた山友に感謝して帰阪した。 (村上)

参加者2名

  

 西穂高岳山頂付近から南の稜線、焼岳、乗鞍岳を望む         奥穂側コルから見た西穂頂上



      奥穂側から見たジャンダルムの岩塔

コースタイム

9月15日(木) 9月16日(金) 9月17日(土)
大阪駅 07:59 西穂山荘 03:55 穂高山荘 05:30
 ワイドビューひだ25号 西穂独標 05:10/05:20 涸沢山荘
高山・濃飛バスセンター 12:13/12:40 ピラミッドピーク 05:45 横尾
新穂高温泉駅(ロープ) 14;13/14:30 チャンピオンピーク 06:10 徳沢
しらかば平駅(ロープ) 14:35/14:45 西穂高岳(2908.6) 06:35/06:45 明神
西穂高口駅 14:52 /15:00 間ノ岳(2907) 08:00/08:05 上高地バスターミナル 12:10/13:30
西穂高山荘(泊) 16:10 天狗の頭(2907) 09:15/09:30 新島々駅 14:45/14:52
天狗のコル 09:50/09:55 松本駅/JR松本駅 15:14/15:53
ジャンダルム(3163) 11:45/12:00 しなの18号
ロバの耳 13:20 名古屋 18:01/18:30
馬の背 13:30 米原 19:40/19:54
奥穂高岳(3190) 13:45/14:15 大阪 21:18
穂高岳山荘 15:00


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