苗場山山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・Ⅱ」登山クラブ

山行記録

苗場山(2145m)

2015年10月11日(日)~12日(月)
 豪雪地の苗場山麓はスキー場としても知られている。ゲレンデ内で宿泊するにはプリンスホテルだけしかなく東京のスキーヤーが集まる都会的でおしゃれなスキー場というイメージに憧れて一度だけスキー旅行に出かけたことがある。プリンスホテルの建つ筍山のメインゲレンデから長いゴンドラリフトに乗ってかぐらスキー場の田代エリア・かぐらエリアへ移動し、広々したゲレンデで滑りと景色を楽しんだ。

今年3月に野沢スキー場の毛無山山頂にある展望所に初めて上がってみたら、新潟や長野の山々が見渡せたが、その中でも苗場山の横に長い平頂な山容はすぐに見分けられた。山頂の広々した高層湿原をいつか歩いてみたいと思っていたので、今回の山行に参加してその望みが叶えられたことにとても満足している。

10月11日(日)小雨のち曇り
 苗場山山行の参加メンバー4名がJR前橋駅に集合、車で出発する。私達の山の会のH.P表紙に紹介されている萩原恭次郎詩碑が駅近くの群馬大橋の袂にあるとのことで立ち寄り記念写真を撮ってから高速道路に入り赤城高原SAで朝食を摂る。群馬名産である水沢うどん、舞茸の天ぷらと蒟蒻の田楽のセットを注文しどれも美味しくいただいた。

   
前橋市の利根川にかかる群馬大橋たもとの萩原
恭次郎詩碑 
  萩原恭次郎詩碑文面 本ホムページ表紙と同じ
汝は山河と共に生くべし
汝の名は山岳に刻むべし
流水に畫(か)くべし        萩原恭次郎 

 湯沢ICで高速道路を出て、苗場山登山口に向かう。山合いの道になってくると車窓から眺める景色は緑の中に赤や黄が入り混じるように色づいてちょうどいい時期に来たとうっとりしているうちに神楽スキー場第二リフト町営駐車場に着く。
 今日は祓川コースを登る。小雨が降っているので雨支度をするが空の一部が幾分明るくなっているので天気が快方に向かうことを期待する。駐車場のトイレ横に祓川コースの入口があったが、まっすぐ舗装道を歩いていき、スキー場へ上がると和田小屋が見え、正面リフトの右方から樹林の道を登っていく。ごろごろした石の多いぬかるんだ道である。
5合目半、6合目、6合目半の目印を通過し、下ノ芝に着くと視界が開け、ベンチがあり真っ赤に紅葉したドウダンツツジが出迎えてくれた。

   
かぐらスキー場第2リフト 町営駐車場 ここからは歩き    和田小屋 
     
下ノ芝の休憩ベンチ     

 向かいの山も綺麗に色づいている。少し進んで薮を分け入ると第5ロマンスリフトの山上駅に出た。エメラルドグリーン色のカッサ湖が下方によく見える。リフト降り場の台に上がり、晴れ間も出てきたので具だくさんのクリームスープを作り、おにぎりとパンなどの昼食を摂る。今日は時間に余裕があるのでのんびりと休憩してから、登山道に戻りさらに進む。
 今の時期は花は咲いていないお花畑の中に木道が敷かれ、中ノ芝、上ノ芝にはベンチもあり休憩するのに良いところである。右方少し奥に建っている顕彰碑に気付くがそのまま通り過ぎ、小松原湿原への分岐を過ぎ、
8合目の神楽ケ峰あたりまで登ってくると展望がよくなってくる。
 少し下ると雷水があり喉を潤す。冷たくて美味しい水を飲むと、あと少し頑張ろうと気力が湧いてくる。

   
第5ロマンスリフト山上駅での昼食    雷清水 

 さらに鞍部に下って最後の急坂、雲尾坂をジグザグに登りきると突然山頂の広大な平原に飛び出た。しらびそ林、草紅葉の中にいくつもの池塘が点在し、木道が敷かれている。曇っているが遠くの山々も見えている。広々して気持ちがいいので深呼吸をする。想像していた通りの天上の楽園の景色である。
 木道を緩やかに上っていくと小広場があり小さな祠があり、一等三角点があった。展望はなし。ぬかるんだ小道を少し分け入って苗場山自然体験交流センターへ着く。中に入るととても温かく先着の登山者達の話し声で賑やかであった。
 受付を済ましてから木道を歩いて湿原散策に出かける。山頂は広くて高低差があるのでたくさんの池塘が棚田のように眺められる。ナナカマドは葉が落ちて赤い実だけになっている。足元にはドライフラワーのお花畑、リンドウ、イワショウブ、チングルマ、アキノキリンソウ、コバイケイソウなど夏の景色を想像しながら散策する。夕方になり薄暗くなってくると大小さまざまな池塘の水面は鏡となり白い雲が映し出されていた。
 夕食はおかわり自由のカレーライスにポテトサラダと漬物、近頃の山小屋の食事と比較して少し物足りなさを感じた。
 消灯してからどのくらい眠ったのだろうか、夜中に起きて外へ出て空を眺めてみると満天の星と天の川、足元をライトで照らしてみると木道に付いた霜が星と同じように白くキラキラ光っていた。明日の天気は大丈夫だと思い、また布団に入った。
 明け方には一際明るく輝いている金星と、その下方に火星、木星と一直線に並んでいるのを見ることができた。空は白んできたがご来光までもう一眠りと、また布団に入る。

   
展望台から南側の湿原を見る    苗場山山頂と三角点 
     
夜1:27の東の空 新月で銀河も星々も非常によく見えた 
上の真ん中にオリオン座の三ツ星 その右下にオリオン座星雲
もはっきり写っている 
  明け方4:52の東の空 一番明るいのが金星 その下3個目が火星
4個目の明るいのが木星 

 10月12日(月)晴れ
 日の出は540分頃と聞き、少し前に外に出てみる。空が赤く焼けてきて周囲の山々が徐々に姿を現してくる。刻々と空の色が変わっていき太陽が出る瞬間を待つ時間は何度体験してもいつも厳かな気分になり心が洗われる。朝日に照らされる湿原も太陽が上がるにつれてだんだん色合いが変化していく。周囲の山々の名前を教えてもらい、かつて登った山々のことを想い出し、これから登りたい山のことを想う。
 宿に戻り朝食を済まし、昨日登ってきた道を下山する。草や木道に霜が降りていて滑りやすいので注意しながら歩く。雨に濡れた紅葉も良かったが、今朝は雲ひとつない真っ青な空の下、紅葉はさらに素晴らしい。
 雲尾の急坂では登るときには気付かなかったが小さなお地蔵さんを見つけた。小松原分岐を過ぎたところで昨日は通り過ぎた顕彰碑を見に行くと昭和
5年にスキーで初登頂し苗場山を紹介した人の碑であった。

   
ご来光 5:53    朝陽で赤く燃えた草紅葉と白砂山、佐武流山~烏帽子
山、裏岩菅山 遠方真ん中は浅間山、 
  
朝陽で赤く燃えた草紅葉と白砂山、佐武流山~烏帽子山、裏岩菅山 遠方真ん中は浅間山、    


 今日は天気が良いためか早い時間から登ってくる登山者とたくさんすれ違う。紅葉も昨日より少し進んだようで色鮮やかになっているようだ。景色を楽しみながらも足元は木道、ぬかるみ、ゴロゴロ石など足運びに気を使いながら歩き続け和田小屋に着いた。

   
雷清水から苗場山を見上げる    下の芝~和田小屋間から見る中尾根の紅葉 


 二日間でドロドロになった靴やスパッツを洗ってから車に乗り、苗場スキー場の前を通り、三国街道、三国峠を越え、法師温泉に向かったが近くまで行くと日帰り入浴は午前中で終わりとのことで引き返し、猿ヶ京温泉で汗を流し、
JR上毛高原駅で解散する。

 紅葉のちょうど良い時期に良きメンバーと一緒に登れたことに感謝します。(岡村)

 参加者 会員3名(清水、岡村、西村)、会員外1名(清水弟) 計4名

コースタイム

10月11日 10月12日
前橋駅 6:00 自然交流センター 7:10
群馬大橋西南詰 萩原恭次郎詩碑 6:15/6:20 山頂、三角点 7:15/7:20
前橋IC 6:30 頂上台地展望台 7:25/7:40
赤城高原SA 6:50/7:30 雲尾坂 8:00/8:05
湯沢IC 8:00 雷清水 8:45/8:55
市営神楽第2リフト駐車場(1220) 8:30/9:10 富士見坂
和田小屋(1370) 9:55/10:00 神楽ヶ峰 9:20
1600m付近 10:50/10:55 小松原分岐 9:40/9:45
下ノ芝(1703) 11:25/11:30 上ノ芝 9:55
第5ロマンスリフト上駅(1830 12:10/12:50 中ノ芝周辺 10:15/10:30
中ノ芝(1880) 13:00 下ノ芝 11:05/11:10
上ノ芝(1920) 13:15 6合目半 11:30
小松原分岐(1995) 13:25 6合目 11:50
神楽ヶ峰(2029.7) 13:45 5合目半 12:05
富士見坂 和田小屋 12:30/13:00
雷清水(1930) 14:10/14:20 市営神楽第2リフト駐車場 13:20/13:40
雲尾坂(2010) 14:40/14:45 猿ヶ京温泉 まんてんの星 14:35/15:45
頂上台地展望台(2130) 15:10/15:20 上毛高原駅 16:10/16:53
山頂、三角点(2145.2). 15:25/15:35 東京駅 18:00/18:10
自然交流センター 15:40/16:15 新大阪駅 20:40
頂上湿原散策 16:15/16:55
11日~12日合計
所要時間 7:45 所要時間 6:10
歩行時間 5:40 歩行時間 4:50
休憩時間(小屋での休憩0:35を含む) 2:05 休憩時間 1:20
歩行距離 15.8km 歩行距離 15.8km
累積登高 1369m 累積登高 494m
累積下降 544m 累積下降 1319m
所要時間 13:55
歩行時間 10:30
休憩時間(小屋での休憩0:35を含む) 3:25
歩行距離 15.8km
累積登高 1863m
累積下降 1863m


         苗場山トラック地図

この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。

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