鈴鹿野洲川元越谷沢登りの山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・U」登山クラブ

山行記録

鈴鹿野洲川元越谷沢登り

2012年9月9(日)曇り時々雨

川の渡渉等の訓練ということでこの、簡単な沢登りを計画した。場所は鈴鹿の野洲川源流元越谷を選んだ。1999年7月に遡行したこともある鈴鹿の沢の中でも美しいナメやゴルジュそして滝がある出色の谷だ。予定としては林道〜入谷〜大滝〜右俣ゴルジュ〜林道への小回りコースとした。

 一昨日は三重県や鈴鹿は集中豪雨があったものの、この日は天気はよいとの予報だった。しかし滋賀県に入ったあたりから、雲が多く少し不安になる。
 今回は竜王ICから国道477号をたどって野洲川ダムへ向かう。道は直角に右左、右左と曲がり、結構遠く、栗東ICで降りて国道1号を利用したのと大して距離的には変わらないように思えた。ただ道は空いていた。
 峠を越えると土山町大河原、そして野洲川ダムに着く。ここから約4km、右に元越谷林道へ入る小さな橋がありこれを渡る。小さな広場には車か5,6台停めてあり、下の河原ではピクニックやバーベキューの用意をする若者たちの声がにぎやかだった。橋から200mも行くと道は細くなり、2個所は路を横切る流れで左の谷側に落ち込んで傾いていて危険なので、岡村さんに車の外から誘導してもらう。橋から約400mで鉄製のゲートが道を閉鎖していた。1999年の時は道はずっと先まで入ることができたが、ゲートを閉じてからは利用する人もなくなり、実質管理もしなくなって道は荒れてしまったということだろう。
 ゲートの前のスペースに車を停め、沢登りの用意をする。二人のメンバーは初めての沢用シューズ、そしてヘルメットの着用で一応形はできた。
 出発すると同時に小雨となった。傘を取り出して林道を行く。沢登りに傘とはおかしなことだが、沢で濡れるのは当然ながら、林道歩きでは濡れたくないという気分。理屈ではない。
 1.5km先の左へのヘアピンカーブの手前が予定の谷への下降地点だ。林の向うに白いしぶきを上げて流れる谷が見える。少し探すと踏み跡がある。本格的な雨が降っていて、これでは沢登りは無理という感じだ。しばしといっても5,6分だが、流れを見下ろしたままたたずむ。
 「折角だから谷まで降りてみない?」という声が出て、その通りということで、崩れやすい泥の斜面を谷へ下る。
 谷は0.5〜1mの〜石がゴロゴロした狭い河原だった。これも折角降りてきたのだからと、渡渉の練習をと思ったものの、流れは速い。普段の2倍近い水量だ。一昨日の豪雨の影響がまだあるのだろうか。腿近い水深があり、さらに上流へと歩いて、ひざ上程度のところを見つけ初めて入渓、渡渉する。


       渡渉の繰返し

 気になっていたヒルだが、すぐにひとりが脚に吸い付かれたのに気づき、みなでチェックするともうひとりのザックの上にも2匹、ズボンにも1匹がいてこれから先ときどきチェックすることにした。岸の緩い流れの中には確かにヒルが泳いでいるのが見られるが、ザックの上のものは木から落ちてきたのか、ザックを下に置いたときについたのか分かりかねた。
 すぐに連続する堰堤があり、これは右側を高巻きする。
 初めは流れに持って行かれそう感じがして怖かったという彼女たちも、その後はコツも覚えて、順調に渡渉や簡単なへつりを体験しながら遡る。流れの急なところや、深みのあるところは石の頭などに確り手がかりをして三点確保をする、身を低くして進むなどの技術を体得できたように思う。幸いこの谷の石や岩は花崗岩で、フェルト底の靴では、まず滑らない。滑るよりは身体のバランスが崩れたときの方が危険だ。
 さらに両岸の切り立った谷を遡ると小滝の深い釜があり、これも右側をかなり高くまで登って巻く。再び沢に下りるところも急だが、ロープが張られていて助かる。
 渡渉の練習のつもりが、結構上まで来てしまい、GPSで確認すると、大滝も割りに近い。皆元気なので、大滝まで行くこととする。谷が南へカーブしてすぐにまた小滝の大きく深い釜がある。前回落ち込んでカメラを濡らしてダメにしたところだ。右側の壁をへつり、滝の右でぐっと上がるのがルートになっている。へつりの壁の下の水面下に足場になる棚がある。それも途中途切れたところがあり、左脚を大きく伸ばす必要がある。最後の上がるところの手がかりとなる割れ目が小さくて難しいが、今回そこには残置テープがあり、これを手がかりとして容易に上がることができた。

      
    深い釜 ここは右の壁をへつる            同 へつり             大滝 落差15m

 ここからさらに行くと前に大滝が現れた。豪快に白い飛沫を飛ばして、迫力満点だ。この滝はよく写真でも見るがこれほどの迫力のあるものはない。やはり水量が多い。
 丁度昼に近い時間なのでここで、昼食とする。
 この滝は右側の幅広いバンドを横にへつって滝の右の30〜60センチの岩屑のガレ場に出て、このガレを登れば上に出られるが、本格的な雨の中濡れたバンドや濡れて緩くなったガレを登るのも危険と思えた。またそれよりも、滝の上流の100m以上続く狭いゴルジュは足場も奔流の中に沈んで、まず通過は無理と考えられるため、沢登りはこの滝で終了することにした。
 滝の左(右岸)の崩れやすい泥の急斜面を登り、木の根や切り株を手がかりに右のやはり45度もある疎林の斜面を這いつくばるように登りると支稜に出た。勾配は緩やかだが、サルトリイバラが生えふけり、歩きにくい。そこで大きいのは直径30cm近い薄茶色のキノコが4本ほど生えているのを見つけびっくりした。傘の下は黄色い網目で、イグチの一種ということは分かった。若いものの柄は赤みの筋がある。後で調べると、アシベニイグチという毒キノコらしい。本には傘は大型で10-20cmとありったが、それ以上に大きい株だった。そこからすぐに広い林道に出て、、谷への下降地点も過ぎて、車を停めたゲートに戻った。
 これもまた折角なので、約1時間余り、今日は使うことがなかったザイルの使い方、結び方の練習、そして便利なエイト環を使った急斜面の懸垂の実演などをしてから帰路に着いた。
 途中大河原の"かもしかの湯"に入るつもりだったが、行ってみると、すでに廃業したとのことで、南の新名神に近い、"やっぽんぽんの湯"まで行き、汗を流した。

 鈴鹿はヒルが多いことはこれまでも知っていたし被害も受けたことがあるが、近年特に鹿等の大型獣類の増加に伴い増えているように思えた。ヒルの大きさは直径2mm、長さ1.5〜2cm、血を吸うと直径6,7mmとマルマルに太る。傷口の血が1時間余り止まらないので、ティッシュやそれを固定するための接着テープや絆創膏が必要だ。その辺は今回のメンバーは用意できていてさすがだった。
 今回も何ヶ所もやられた人もいるし、全く被害のなかった人もいて、この差が何かは考える必要ありそうだ。靴下の口の部分に被害が集中していて、タイツを着用していたメンバーは被害ゼロだった。とにかく肌を足先から首まで隙間なく全面布地で覆うと被害がないように思える。(清水)

参加者 3
名 会員(清水、岡村、村上)

コースタイム

千里中央 7:25
吹田IC 7:50
草津PA 8::20/8:35
竜王IC 8:45
野洲川ダム 9:20
国道477l林道分岐 9:25
林道ゲート 9:30/9:50
入谷下降点 10:30/10:40
10::45
沢分岐 10:55
堰堤右高巻き 11:05/11:10
釜右高巻き 11:15/11:20
小滝釜右へつり 11:30/11:35
元越大滝 11:50/12:20
林道 12:40
入谷下降点 13:05
林道ゲート 13:30/14:45
武平峠 15:00/15:10
大河原 15:30/15:40
甲賀温泉やっぽんぽんの湯 16:05/17:10
土山IC 17:40
吹田IC 18:45
千里中央 19:00


歩行距離 9.1km、累積登高 約250m 累積下降 250m



             元越谷沢登りトラック地図1 概略図



                         元越谷沢登りトラック地図2 詳細図
これらの背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。

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