奈良 三輪山(466.9m)、巻向山(566.9m)
今回は古代からの伝説や万葉集でなじみの三輪山とその奥の山、巻向山を訪ねることとした。
三輪山は奈良盆地の南東に位置する蓑笠を伏せた形の整った三角形に見える山で、神代の時代から特別視されてきていて、麓の大神(おおみわ)神社は日本で最も古い神社とされている。主祭神は大物主大神(大国主の命)で蛇身であり、妻のヤマトトトヒメノミコトが言いつけを破って夫の真の姿の蛇身を見てしまって、大物主は恥じて三輪山へ帰ってしまい、ヒメミコは箸で自分の身を刺して自殺するという日本書記にある物語、箸墓伝説は割りに知られている。
万葉集の最初の部分にある「三輪山をしかも隠すか雲だにも情(こころ)あらなむ隠そふべしや」 巻1-18 は秀歌としてよく知られている。現代語訳すれば「三輪山を見るのはこれが最後というのに 雲よなぜいじわるして隠すの、こころあるなら三輪山を見せておくれ」と言ったところです。
山の上に高宮(こうみや)神社があり、その奥に神が降りると言う奥津磐座(いわくら)がある。そこが頂上だ。
調べてもはっきりしたことは分からなかったが、今回三輪山の後に登る巻向山は三輪山より100m高く、山腹に白石という花崗岩の露頭があったり、山頂付近に磐座があるなど、三輪山の奥山の意味もある山ではないだろうか。
2019年12月15日(日)晴れ
各地からJR利用、近鉄利用等さまざまなルートで来た7名が、JR桜井線三輪駅定刻にに集合した。
駅からは先ず大神神社に向かう。駅から神社まで菓子や土産を売る小さな店が並んでいる。大鳥居をくぐって真っ直ぐ広い道が伸びている。落ち葉を掃くひとの手できれいになっていてすがすがしい。 手洗い水で清めてから階段を登り、桧皮葺きの立派な社殿にお参りして神社本殿を後にする。
大神神社参道 | 大神神社本殿 |
階段の中段で右に入り、祈祷殿の前を横切り、久(く)すり道に入る。これから向かう狭井神社が病気平癒の神様なので、何種類かの薬草が植えられ、国内の製薬会社の奉納石柱がならんでいる。
すぐに狭井神社に着く。こじんまりした神社だが、三輪の神様の荒魂(あらたま)を祭っていて、病気平癒の神様となっている。社殿の左奥に「薬井戸」があり、お参りのひとが水を汲んでゆく。
ここで神職に登山申込みをして白いタスキを受け、さらに山参りの諸注意を聞いて小さな鳥居をくぐって登り始める。
注意とは、「写真撮影禁止」、「私語禁止」、「飲食禁止、水は可」、「決められたルート厳守(三輪山から巻向山へなどの縦走禁止)」、「トイレは高宮神社の右の一箇所のみ使用可」と言うように一般のピクニックや山登りとは違って信仰登山であることを心するよう求められる。登山料としてひとり300円を納めることになっている。
道は初めのうちは幅も広く緩やかで。中細の丸太で階段にしてあり、金剛山の路とよく似ている。
登り始めて20分で三光ノ滝の行場に着く。手前が小屋囲いされて休憩できるようになっている。
5分の小休憩の間も次々に登山者が通過して行く。また登りはじめる。谷の斜面をジグザグに登るようになり、急坂が続く。やがてジグザグモもなくなり、歩きやすい路となる。さらに行くとまた暗い森の中の路となり、右手前に小さな神社が鎮座している。高宮神社だ。ここを右に曲がって水平に近い路を行くとすぐに奥津磐座があり、祠がたてられている。
全員敬虔な気持ちでお祈りして、下山する。
日本一のホットスポットとも言われていて、若い人、それも女性が随分と多いことを感じた神の山だった。
写真撮影は出来ないので、この報告でも山内の写真はない。
東北の湯殿山のご神体も見たことを口外してはならないと言われていて、そこを訪ねた松尾芭蕉も「語られぬ 湯殿にぬらす 袂かな」と詠んでいるが、ここ三輪山もよく似ている。。
狭井神社に降りてからタスキを返す前に皆で記念写真を撮る。タスキをかけての姿などこれからもそうあることではない。
狭井神社の三輪山登山口 タスキをかけて登山し下山 | 狭井神社の三輪山登山口 タスキをかけて登山し下山 |
狭井神社から山の辺の道を伝い、桧原神社に向かう。柿の実はほとんど無くなって、ミカンやユズなどが黄色い実をたわわにつけている。そして路の脇の無人販売所では、ひと袋、7個くらい入ったものが100円で売られている。我パーティーの女性陣は大喜びで品を選んでいた。
正午も過ぎ、日当たりのよい、桧原神社の入口の鳥居の脇で、弁当を広げ、昼食とする。他のハイカーも何組か昼食を取っていた。
のんびりした昼食の後、纏向(まきむく)川沿いの車道に出て約1km、その車道を東に向かって行くと巻向山、奥不動寺への細い簡易舗装の道が現れる。
この路へ歩を移し、登って行くが、かなりの急傾斜の道で、一車線、しかも退避のふくらみも無く、自家用車で来るには嫌な道だ。
距離1.6km、行程差230mを30分で登り切ると正面に巻向山奥不動寺が建っていた。それにしても速いピツチだった。
巻向山奥不動寺 巻向山山頂へは左に道がある |
寺の階段下の左に巻向山への道があり、真っ直ぐ山頂付近に向かって伸びている。軽トラツクが登れる幅で、歩きもはかどる。頂上近くで右にそして左へ曲がり、最後に右側の法面につけられた細い登りを行けばすぐ巻向山山頂だった。残念ながらここも展望は無い。真っ直ぐ東南の長谷寺方面に向かう路が見えたが、入口には木の枝でバリケードが作られ、進めないようにしている。今来た路を戻り、JR巻向駅jまで長い距離を歩くのは嫌だったが、夕暮れも近い時間、先の状況も分からぬ山道を行くのは無理とあきらめた
林道から山頂へ向かう法面の登り路 | 巻向山山頂で | |
巻向山山頂で |
15時、山頂発。奥不動寺、同寺入口、桧原神社への分岐経由巻向駅へ戻った。
途中また何度も100円ミカンの無人売場で止まりながら駅に到着するとすぐに列車が来た。奈良駅でも大阪行き快速への1分もかからない乗換えが出来てラッキーな気分で終わった1日だった。
歩いた距離は15.8km、登り降りも960mほどで結構ハードな山行きだった。巻向山では奥不動寺から10―15分のところに白山という花崗岩の露頭がいい景色を作っている場所があるので、次に行くときには訪ねたい。 (文 清水)
三輪山、巻向山のトラックマップ |
参加者: 会員7名 清水、岡村、白柳、橋爪、南井、村上、山岡 計4名
コースタイム
JR三輪駅 | 9:35/9:45 | 行動時間 | 6:45 |
大神神社 | 10:00/10:05 | 歩行時間 | 5:15 |
狭井神社 | 10:10/10:20 | 休憩時間 | 1:30 |
三光の滝 | 10:40/10:45 | ||
山頂 | 11:20/11:25 | GPS | Geographica |
三光の滝 | 11:50 | 測定点数 | 0:00 |
狭井神社 | 12:05/12:15 | 歩行距離 | |
桧原神社 | 12:45/13:20 | 累積登高 | 962m |
奥不動寺入口 | 13:45 | 累積下降 | 960m |
奥不動寺 | 14:15/14:25 | ||
巻向山山頂 | 14:50/15:00 | ||
奥不動寺 | 15:15 | ||
奥不動寺入口 | 15:40 | ||
桧原神社への分岐 | 15:55 | ||
JR巻向駅 | 16:25/16:30 |
この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。
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