紀伊山地 高野三山山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・Ⅱ」登山クラブ

山行記録

紀伊山地 高野三山(楊柳山(1,008.5m)他)山行記録

2017年7月23日(日) 晴れ

 高野山は和歌山県北東部にある千メートル前後の山に囲まれた真言宗の聖地であり、昔は女人禁制であった。その当時、女性信者が辿った道の一部が奥の院を囲む高野三山(摩尼山、楊柳山、転軸山)女人道である。
 高野山へは南海電車高野線、ケーブルカー、バスを乗り継いで行く。電車は橋本駅を過ぎると単線となり緑深い山間をスピードを落としてゆっくりと高度を上げて行く。南海沿線に住んでいる私は高野山へ行く機会も多かったが、子供の頃にはいつも一両目の運転手席のすぐ後ろに立って変わっていく景色を眺めているのが好きだった。大人になってからでも高野山へ行くとなるとミニ旅行気分で道中から楽しめる。
 梅雨が明けてからの暑い毎日、下界と比べると高野山は気温が
56℃は低いので、今日は涼みがてらの高野三山ハイクである。極楽橋からケーブルカーに乗り、高野山駅に着くと通路には風鈴がたくさん吊り下げられていて涼し気である。

 バスに乗り奥の院前で降りる。樹齢
600700年の杉木立の参道の両側には歴史上の有名な人物の墓や大企業の供養塔が並んでいる。苔むした杉の大木や墓を見ると古の時代が偲ばれる。玉川橋を渡ると聖域となるので脱帽して御廟に参拝し、お堂の裏にも回りお大師さんにもう一度手を合わせ、水掛け地蔵まで戻る。

 
奥の院入口    奥の院参道 (Uさん撮影) 


 すぐ横に高野三山の矢印があったので道標に従い、奥の院から東側に出て舗装道路を北へ進む。同じバスに乗り合わせていた高野三山を歩くと言っていた単独の山ガールが速足で先行するのが見えたので、つられて歩いていたが、道は大きく左にカーブしていくので、確かすぐ右の山道に入るはず、こんなに舗装道路を歩いた記憶がないと思ったら山とは逆方向に進んでいたので引き返す。先行していた彼女も戻ってきて一緒になり連れだって歩く。
 チェーンを張った道まで戻る。以前登った時の記憶では二番目のチェーンの道を入ると摩尼山への登り口だと覚えていたのにうっかり通り過ぎてしまっていた。よく見るとチェーンの横に道標がつけられていた。少し歩くと分岐があり道標通り左に取るとほどなく摩尼峠、摩尼村に続く道である。
 お地蔵さんがある急坂を登り、一山目の摩尼山頂に着く。杉林の中に祠があるだけの狭い山頂で展望はない。
 下って黒河峠、東摩尼山と書かれた石柱がある。分岐ごとに道標があり数字が付けられているので南海電鉄が発行している大判イラストマップの同じ数字のところを見ると凡そ現在の場所が分かるようになっている。

 
摩尼山山頂    黒河峠 


 杉木立の中を快適に登って、二山目の楊柳山山頂に到着。自然林が残されていてブナの木も観られ、少しだけ明るい雰囲気の小広場になっているが、展望はない。祠の後ろに三等三角点を見つける。三山の中で標高は一番高く関西百名山に選定されているらしい。清水さん自家製の採れたて野菜や果物などいただき昼食休憩をとる。

   
楊柳山山頂の昼食    楊柳山山頂で 
 
楊柳山山頂のブナ林    子継峠 

 後から登ってきた男女も一緒になり同じコースを前後して歩くことになる。下りは急坂で木の根っこに足を置けば、つるりと滑りやすいので慎重に歩く。杉木立に木漏れ日が射していて美しい。子継峠に着くと雪池山への道標もあったので地図で確認し、その名前からどんな山頂だろうと想像してみる。次の機会には登ってみたい。子継峠からさらに下っていくと沢の水がちょろちょろと流れ、少しぬかるんだ湿地となり、マルバダケブキ、フタリシズカ、クリンソウ、マムシグサなど見られたが、どれも時期が過ぎているので花は咲いていない。
 一本杉に着くと今朝の歩き始めに間違えた車道に出会う。この場所の少し手前まで歩いてきていたようだ。車道を横切った少し先に転軸山の登り口がある。
 登りだしてすぐに
Beware of Bears!と英語のポスターを見つけたが、幸い、下山するまで熊さんには出会わなかった。ひと登りで三山目の転軸山山頂、ここも祠と杉林で展望なし。

   
杉林の中を下る (Uさん撮影)   一本松にでて小休憩 
     
転軸山山頂     


 階段状の道を下り、西洋石楠花園、鳥の池などがある公園まで来ると色鮮やかな紫陽花がちょうど見頃で目を楽しませてくれる。多目的広場を通り過ぎるとバス道に出て中之橋霊園入口に着く。ここから一の橋に出る道がよく分からず、車道を歩いて鶯谷の住宅街を抜けて千手院橋バス停まで歩く。バスの時間までビールとコーヒーで一息つき、バス、ケーブル、特急電車を乗り継ぎ、帰路につく。

   
下界では終わったアジサイが色鮮やかに咲いている    ガクアジサイ 


 今日、山の中で出会った登山者はわずか
3人、小鳥の囀りだけが聞こえ、静けさに包まれた杉林の中を歩くのは心が研ぎ澄まされるようだった。
 また、歩き始めから帰りの電車まで共に行動したUさんはこれから練習を積んでいろんな山に登ってみたいと目を輝かせて語るチャレンジャーでした。このような若い世代の登山者が今後どんどん増えていけばいいなあと思いました。
(文 岡村)


コースタイム

新今宮 7:26 歩行時間 3:25
橋本 8:14/8:18 休憩時間 1:25
極楽橋 8:56/9:02 測定機器 スマホ
高野山駅 9:07/9:13 ソフト Geographica
奥の院前(786m)) 9:22/9:40 測定点数 582
弘法大師廟 9:50/10:00 歩行距離 11:31km
女人道 10:00 累積登高 636m
一本杉手前 戻る 10:15 累積下降 602m
分岐 10:20
摩尼山分岐 10:25
摩尼峠 10:35/10:40
摩尼山(1,004m) 10:55/11:00
黒河峠 11:25
楊柳山(1,008.5m) 11:40/12:10
子継峠 12:15
一本杉、転軸山登山口 12:50/13:00
転軸山(910m) 13:10/13:30
中の橋霊園入口 13:45/13:55
鶯谷 14:10
千手院橋十字路(815m) 14:30/15:40
高野山駅 16:00/16:18
極楽橋 16:24/16:30
新今宮 17:47


 
高野三山トラック地図 

参加者 岡村,清水、南井 計3名

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