焼石駒ヶ岳
2012年10月12日(金) 晴れ、曇り後にわか雨後晴れ
前日津軽半島の竜飛崎からこの登山のベースになる夏油温泉に着いた。
途中青函トンネルや金木の斜陽館などを見て周ったりして、宿に着いたのは17時を過ぎていた。天気は曇り時々雨でよくなかったが移動日なので幸いであった。
夏油温泉は以前焼石岳(1548m)を2泊3日で縦走したときの下山地であり、入浴したこともあるが、余りよく覚えていない。今回宿泊してなんとか様子が飲み込めた。
今は元湯のみが営業していて、それも冬は休業する。谷の奥の一軒屋なので当然なのかもしれない。客は湯治客が多く、建屋の三分の二は湯治客用と思えた。
内湯が2つの他、谷底に4つの露天風呂があり、混浴、時間制男女別そして女性専用と分かれている。なかなか風情ある露天風呂である。
夏油温泉の露天風呂
焼石連峰のの経塚山(1373m)、牛形山(1340m)、そして駒ヶ岳(1130m)をまとめて夏油三山と呼んでいることが駐車場のそばの山案内図に出ていた。
朝風呂、そして賄いの朝食を取って、出発する。登山口は橋を渡ったところで、地図の看板も脇に立てられ、しっかりした階段も付けられている。その後の路も問題なく順調に登ることができた。コースは初め登りで温泉の標高630m付近から1000mへ登り、その後は小さなアップダウンのある水平路を約2kmほど行ってから、頂上をなしているピークをまた登るという構成である。
最初はナラの林、その後ブナ林となり、奥の方には直径1.1mもの大株も見られた。
登山路のブナ林 右の木は胸高直径1.1m 登山路の芸術的木彫 滑り止めが効いて素晴らしい
いくつかの小沢を渡るが、少し広い窪地で左に古い路と言うか踏み分けがあった。しかしここは真っ直ぐしっかりした方の路を進む。GPSの記録によれば、以前の登山路らしい。ここからすぐに登りにかかる。左に掘れ込んだ急な涸沢があるが、ここには入り込まないよう2個所ロープが張ってあり、問題ない。すぐに稜線の路になり、やがて頂上に飛び出した。
頂上には駒形神社の奥宮がある。私ももちろん、岩手県外のほとんどの人が駒形神社のことは知らない。東北の神社では塩竃神社や岩木山神社、早池峰神社くらいしか思い出せないが、水沢市にある本社、駒形神社は岩手県で最も古く由緒あるものらしい。この祠にお祈りする。
山頂の駒形神社奥宮
山頂に着くなり雨がポツリ、ポツリと降り出した。風さえある。朝はいい天気であったのに気まぐれな天気となった。
そうそうに下山にかかる。特に写真撮影する展望も被写体もないのでどんどん降る。ところがどうしたことか、左膝が痛い。脚を後に持っていったり、少し捻るようににするとピッと痛みが走る。ここ数十年間忘れていた痛みである。理由も分からず、ついに脚にも老化が来たかと少し気になった。幸い帰宅してからは全く支障なくまずは安心している。
途中沢筋でミズ(またはミズナ、正式にはウワバミソウ(イラクサ科))がいっぱいムカゴをつけているので、茎ごと採って帰った。翌々日家でムカゴ付きの茎をゴマ和えにして食べたが、シャキシャキして非常においしかった。
雨は大したことなく止み晴れ間も見えてきた。往路を正直にたどり、最後の大下りも無事済まして、昼過ぎに夏油温泉に出た。
この後金ヶ崎ICまで車で走るとき、東側からの駒ヶ岳の姿を見ることができた。小さいながら端正なピークであった。
東の金ヶ崎町から見た駒ヶ岳
翌日は復興しつつあるという、そしていろいろ嬉しい情報発信がされている日本一の外航漁船基地、気仙沼を訪ねた。港や市場等復旧工事が進んでいるのを見ることができた。減っていた大型のマグロ漁船も以前の半分くらいまで戻ってきているとのことで、それらの船が並んでいるのを見て本当に嬉しかった。
しかし加工工場や商業設備などがあった地域はガレキは撤去されてきれいになってはいたものの広い更地状態の中に大きな建物は壊れたまま残されていた。土地の復興計画や利用計画がまだ完成していないもどかしさを感じざるをえなかった。
参加者 清水
コースタイム
10月8日(月) | 12日(金) | 13日(土) | ||||||||
竜飛崎 | 570km | 08:00/08:45 | 夏油温泉 | 07:45 | 一関 | 965 | 06:15 | |||
青函トンネル記念館 | 10:00/10:25 | 駒ヶ岳 | 10:05/10:10 | 気仙沼 | 07:30 | |||||
金木 斜陽館 | 635 | 10:45 | 夏油温泉 | 896 | 12:20/13:10 | お魚市場 | 1017 | 07:35/08:25 | ||
浪岡IC | 11:00 | 金ヶ崎IC | 路の駅かわさき | 1017 | ||||||
花輪SA | 735 | 11:10/11:20 | 一関IC | 一関IC | 1073 | 1073 | ||||
北上西IC | 11:30 | 一関駅 | 965 | 15:35 | 花巻空港IC | 10:55 | ||||
一関IC | 11:40 | 花巻空港 | 1140 | 11:15/1305 | ||||||
夏油温泉 | 896 | 14:20 | 伊丹空港 | 14:20 |
歩行距離 9:91km、
累積標高 1146m
焼石駒ヶ岳トラック地図
この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。
駒形神社(水沢市)
今回調べてみたところ下記URLには焼石駒ヶ岳に祭られている駒形神社奥宮と麓の水沢市の本社について詳しく紹介されている。この駒形神社は古代から祭られていて、陸中一の宮として崇拝されてきた由緒あるもので、明治以後国幣小社となっていた。
雄略天皇や日本武尊命はともかく、坂上田村麻呂、慈覚大師、源義家の参拝や祈願くらいは当然あったに違いない立派な神社である。祭神は駒形大神で、天照大御神他の六神である。駒形大神は馬の守護神で、駒ヶ岳の奥宮には二頭の馬形が納められているそうである。
@には駒形神社が上毛野(カミツケノ、今の群馬県)の赤城神社に由来して上毛野氏、下毛野氏(今の栃木県にいた氏族)と共に東北地方に進出し、形のいい二重式火山(赤城山のイメージか)のなぜか二番目に高いピークを駒ヶ岳または駒形山と名付けたとか。赤城神社はカラ社とも呼ばれていて、カラは古代の朝鮮半島の韓を指すが、当時関東に多く移住した高句麗、高麗人や国を指すコマと同じ意味であったのでカラが駒の字に置き換わったと述べている。私の郷里の山である赤城山や古代の毛野氏との関わりは今回初めて知って興味深かった。
@ http://blog.goo.ne.jp/noyamany/e/d3de5f99cea3d2427e002d8c3d546c34
A http://www.genbu.net/data/mutu/komagata_title.htm
駒ヶ岳
全国に19の駒ヶ岳がある。他にも富士山の火口壁の1ピークが駒ヶ岳と呼ばれることもある。
その他栗駒山、駒ヶ峰、生駒山など「駒」がつく山も多い。
駒ヶ岳の分布は北陸、関東、東北、北海道に限られていて、山名の由来は雪形によるところが多いと思う。山の形が馬やその走る雰囲気を表しているという説もあるが、昔の人は素朴に春の山の雪形を見て、春の喜びを知り、耕作の目安にしたと言うのが分かりやすいと思う。
玩具の独楽(こま)に似ているためというものもあり、確かに箱根の駒ヶ岳など火山の中央火口丘でそんなイメージがある。
他に日本海側に駒ヶ岳が多いので古代の朝鮮半島からの渡来人、高麗人(こまひと)や国名、高句麗(高麗)によるとの説もある。
山頂に駒ヶ岳神社、駒形神社等の祠が祭られていることも多いが、祭神は大国主の命、大山祇神などいろいろで特に決まった神ではない。
全国の駒ヶ岳リスト
山名 | 標高(m) | 所在地 | 清水の登頂年月 | |
1 | 北海道駒ヶ岳 | 1131 | 北海道森町、七飯町 | 山頂付近立入り禁止 |
2 | 大駒ヶ岳 | 1144 | 青森県新郷村 | |
3 | 焼石駒ヶ岳 | 1130 | 岩手県北上市、金ヶ崎町 | 2012.10 |
4 | 秋田駒ヶ岳 | 1637 | 秋田県仙北市、岩手県雫石町 | 1994.07 |
5 | 藤里駒ヶ岳 | 1158 | 秋田県藤里町 | 2011.06 |
6 | 山形駒ヶ岳 | 1067 | 山形県米沢市、高畠町 | |
7 | 会津駒ヶ岳 | 2183 | 福島県桧枝岐村 | 1995.06 |
8 | 赤城駒ヶ岳 | 1685 | 群馬県桐生市、前橋市 | 1996.6 |
9 | 越生駒ヶ岳 | 369 | 埼玉県越生町 | |
10 | 箱根駒ヶ岳 | 1356 | 神奈川県箱根町 | 1995.07 |
11 | 甲斐駒ヶ岳 | 2967 | 山梨県北杜市、長野県伊那市 | 1986.08、1990.06 |
12 | 木曽駒ヶ岳 | 2956 | 長野県木曽町、上松町、宮田村 | 1986.10、2010.07 |
13 | 南駒ヶ岳 | 2841 | 長野県大桑村、飯島町 | 1989.11 |
14 | 朝日駒ヶ岳 | 776 | 新潟県村上市 | |
15 | 越後駒ヶ岳 | 2003 | 新潟県南魚沼市 | 1991.10 |
16 | 頚城駒ヶ岳 | 1487 | 新潟県糸魚川市 | 2004.10 |
17 | 下駒ヶ岳 | 1241 | 富山県朝日町、新潟県糸魚川市 | |
18 | 越中駒ヶ岳 | 2003 | 富山県黒部市、魚津市 | 2009.08 |
19 | 若狭駒ヶ岳 | 780 | 福井県小浜市、若狭町、滋賀県高間市 | 2008.05、2011.11 |