北アルプス 上高地山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・Ⅱ」登山クラブ

山行記録

北アルプス 上高地山行記録

2018年2月6日(火)〜8日(木)

2月6日(火)
 冬の上高地に行ってみたい。以前から漠然とした思いがあった。夏の北アルプス、上高地は言うまでもなく素晴らしいのだが、人が多く混雑している。人の少ない上高地と北アルプスの景色を堪能したい、と感じていた。

 そこで、例年、雪の上高地を個人で楽しんでおられる清水さんに話したところ、快く承諾いただき、例会扱いにして他にも参加される方がおられればという話となった。 計画を始めたところ日帰りは非常に困難、一泊でも帰りが遅くなり余裕がなさすぎる、とうことで温泉泊で2泊3日、3日目は高山散策して帰るという、夢のような山行となった。ただ、仕事に拘束される身としてはなかなかハードな計画。しかも、せっかくなので、天気が良いと思われる日にしたい。いろいろな事情で、募集時には日程不確定であったため、最終の参加者は、清水さんと瀧井のみとなった。

 おりしも世間では福井県を中心に37年ぶりの記録的豪雪、この時期に雪の山に行って本当に大丈夫なのか不安であったが、寒いなら寒いで逆に安定して晴天の可能性もあるとのことで、2月6、7、8日で決行が決まった。
 自分は、雪山経験はほとんどなく、2015年に綿向山・竜王山、那岐山に行ったぐらいで、どの程度の装備が必要か悩んだ。
 天気予報を見ると-20度としているものもあった。結果としては、上高地往復自体は、歩き続ける時間がほとんどで、長時間の停止がないため、それほどの厚着は必要なかった、あまり着すぎると汗をかいて、逆に冷えることになる。

 さて、長々とした前置きとなったが、2月6日(火)9時に多賀SAで合流し、一路、本日の宿中の湯温泉を目指す。12時ころには松本ICを降り、途中、新島々のあたりで、そばをいただいた。車が暖かかったので、ざるそばにしたがよく締まっていて美味しい。そばは美味しいが、いつものなじんだそばとはダシが少し違う気がする。
 途中、奈川渡ダムあたりから道路上にも雪が積もって、圧雪路となってくる。雪道になれていない身としてはやや不安となるが、全く問題なく到着、釜トンネルの前を通過し、すぐ安房トンネル手前の国道158号の旧道に入る、入口は全面通行止で、ゲートが閉じているが中の湯温泉の宿泊者のみ宿に電話するよう書いてある。ゲートを開けて、再度閉鎖してからつづら折りの道を登る、両側は雪の壁となっている。見たこともないような雪国の景色、10分程度で中の湯温泉に到着。見事に予定どおり2時半前に到着した。

   
国道158号線 釜トンネル入口付近    中の湯温泉入口(旧国道158号線)のゲート 


 ロビーでお茶と御菓子をいただき少しくつろいで、荷物を部屋に移動する。部屋は穂高の113号室、窓からはフロント・ロビー棟の屋根と、その向こうに穂高、明神岳、右手に霞沢岳がみえる。ただ、手前の山と木の影で、上高地方面の展望はそれほど良くない。まあ、明日行くから別に問題はない。

今回、新雪の道を歩くためワカンを購入したのだが、当然使用したことはなかったので、急遽、宿より奥は完全に通行止めとなっている国道158号の旧道を歩いてみることに。宿から数十メートル先までは従業員の駐車場として雪どけしてあるが、その先は雪の壁、ほとんど歩いた跡は無い。初めてのワカン装着、予想よりフィット感も良く使いやすい、雪はサラサラの新雪で軽い、ワカンをつけてひざ下ぐらいまで潜る感じ、場所により足が完全にもぐったりもする、積雪は1m以上あるようだ。普段は見上げるカーブミラーがすぐ近くにあり、普段のイメージより2倍くらい大きい。これは想像以上に楽しい、
 1つ目の折り返しまでは数日前に誰かが歩いた跡があったが、それより先は、だれも歩いた様子のないまったくの新雪に見えた。一歩踏み出すと沈み込み、その足を持ち上げる際に雪が乗る、これを持ち上げるわけで、粉雪で軽いとはいえ延々これを続けるとすぐに疲れる、これが噂に聞いたラッセルというやつかと。先頭を交代しながら進む、途中で引き返し、1時間ほど楽しんだ。

     
旧158号線、安房峠への道    中の湯温泉旅館の餌場 ヒマワリの種にコガラ、ヤマガラ
の他、リスも来ている 


 夕食は6時からで、たっぷりと量もあり美味しかった。あと、源泉かけ流しの温泉が24時間(清掃時間と男女入替時間を除いて)いつでも利用できるのがありがたい。何度も入ろうとおもったが、結局、翌日に備えて早々に就寝した。

2月7日(水)
 7日は、5時過ぎに目が覚め、ストレッチや荷物の準備、着替えを済ませ、7時からの食事をして、8時に宿の車で釜トンネル入り口まで送ってもらう。夏山の宿と違って、部屋でゆっくりストレッチできるのがうれしい。3時半、トンネル入り口で最後の準備をして出発。トンネルの中は風がありわりと寒い、ザックに着けた温度計で-8度、釜トンネルを抜けるあたりで誰かが立っているように見えた、もう帰ってきた人がいるのかと思ったが、環境省の職員の方だった。冬の上高地利用についてのアンケート。その先に新しい上高地トンネルができていた、2016年7月完成したようだ。

 
中の湯温泉旅館   釜トンネル (1310m)入口
     
2016年7月に開通した上高地トンネル(588m) 入口    

 少し歩いて大正池橋に到着、橋を渡った左手の道が除雪されている、右手は未除雪で壁に見えたため、左に進む、途中で気が付いたが、この道は工事車両用の道路で、本来は右手を進み、大正池の東側(梓川左岸)を進むのが正しいようだ。しばらく歩いて、田代橋10時15分、うしろから作業用トラックにのった集団が車を止めおりてきた、この人たちも環境省のかたで、冬季トイレの清掃や、標識の整備等をしてくれていた、この後も何度がすれ違った。
 ワカンを装着し、作業用道路を離れ田代橋を超える、ここからは少なくとも今日歩いた人はいない状態だった。梓川沿いの遊歩道(本来の冬季一般ルート)を過ぎ上高地帝国ホテルを左手に見ながら上高地バスターミナルへの道をすすむ。夏にバスで通る道だ。

     
沢の流れ    大正池西側の林道 
 
雪に埋まった田代橋    冬仕舞いした帝国ホテル 


 11時バスターミナル到着。トイレを利用し(環境省の方ありがとうございます)、河童橋へ進む。すぐに到着。こんな場所だったかな、あいにく天気は雪模様で、穂高が望めず、景色もピンとこない、風が強いため昼食の場所を探すが、適当な場所がなく、河童橋の下に降りる。荷物を降し、食事の準備をする、振り返るとこの時間が一番風雪がひどかった気がする、おそらく周辺に遮るものが無かったためと思われる。
 自分のガスバーナーが燃えない、気温が低くてうまく気化しないようだ、ガスをプロパンミックスにするべきだったか。ただ、同じガスでも清水さんのはそれほど問題ないようだったので、むしろヘッドの形状が問題なのかもしれない。1時間ほど滞在するも、明神岳がうっすら見える程度で天気は回復せず、帰路に着いた。

 
上高地バスターミナル 冬用トイレ
環境庁職員が毎週掃除などしてくれている 
   
   
ひっそり、誰一人いない河童橋    河童橋の下で昼食 
   
河童橋から上流を見る 穂高岳は見えない    明神岳がかろうじて見える 

 ここから梓川の右岸を進む、数日前の踏み跡があったが、途中からは全くの新雪、梓川沿いを進む、雪の上高地、梓川沿いで誰も居らず、その気配もない、上高地を独り占めしている気分に浸りながら進んだ。

 13時45分、ウエストン碑をへて田代橋へ戻る、ここからは通常ルートの梓川左岸をすすむ、よく歩かれた跡があり、ワカンを外しても問題ない。田代湿原、大正池を経て、大正池橋までもどる、やはりこちらの方を歩く方が景色としても良い、ただ今日に限ってはそれほど景色は問題ではなかったのだけれど。釜トンネルを出たのが15時05分、入り口の中の湯の小屋で、迎えのバスをお願いし、15時40分には温泉に帰着。無事に帰ってこれた。このころから天気は回復してきた。当日は、その後温泉を堪能し、食事、温泉、就寝と温泉宿を満喫した。

   
雪の梓川    田代池 
     
夕刻になって姿を現した霞沢岳   

2月8日(木)
 この日は天気も良く、穂高の方向も望めたため、一昨日の158号旧道を登って展望の良いところまで進んでみることにした。晴れたことにより気温は低く-15度。1時間すこし登ってやや展望が開けたところから、上高地方面をのぞんで、帰り道は誰かがつけた宿からの直登ルートをショートカットして宿に到着、10時には宿を出発した。

 
 中の湯から見た夜明けの前穂高岳と明神岳   旧国道158号線から蒸気を上げる焼岳を見る 
     
旧国道158号線からの霞沢岳    旧国道158合線からの穂高岳と明神岳 奥穂のピーク
はガスの中 

 その後、高山でしまいかけの朝市を散策し、そばを食べ、日下部家の隣の吉島家を見学して、ゆっくりと帰路に就いた。天気は良かった。平日昼間で、渋滞もなく、順調に16時過ぎ多賀SAで下してもらい、帰宅。この日は上高地からずっと天気がよかったのに、最後の養老をでて関ヶ原、彦根付近のみそこそこの雪だったのが変な感じだった。

 
高山の代表的民家、吉島邸 明治の重要文化財 

 今回の山行では、同行させてもらい、ありがとうございました。当日の天気はもう少しでしたが、逆に再度行く口実ができたと思っています。その日がいまから楽しみです。

今回の装備で、もう少し検討したほうが良いと感じたのは、ガスバーナーと手袋だった。 (文 瀧井) (写真 瀧井、清水)


コースタイム

行程 時刻
2月6日
中ノ湯 15:10
旧国道158号雪トレツク 歩行 約1:00
中ノ湯 16:30 歩行距離 2.4km
累積登高 110m
累積下降 110m
2月7日
中ノ湯 8:05 歩行時間 2:55
釜トンネル下口 8:15/8:30 休憩時間 0:50
上高地トンネル下口 測定機器 スマホ
大正池橋 ソフト Geographica
田代橋 10:15 測定点数
帝国ホテル 10:30/10:35 歩行距離 15.85km
バスターミナル 11:05 累積登高 369.7m
河童橋 11:20/12:20 累積下降 369.7m
ウェストン碑
田代橋 13:45
田代池 13:45/13:55
大正池
同バス停 14:15
上高地トンネル上口 14:50/14:55
釜トンネル上口
釜トンネル下口 15:05/15:20
中ノ湯 15:30
2月8日
中ノ湯 7:40 歩行 約1:20
旧国道158号雪トレツク 歩行距離 3.2km
中ノ湯 9:20 累積登高 110m
累積下降 95m
車走行行程 時間 車走行距離km
2月6日
川西清和台 7:00 0
川西IC 7:05 2
多賀SA 8:30/9:05 113
恵那SA
松本IC 14:15:00//10:00 372
新島々
中ノ湯 14:45 418
       
2月8日
中ノ湯 10:00 418
高山 市内観光 11:15/12:50 441
清見 479
ひるがのSA 505
養老PA 15:30/15:45 616
多賀SA 1605/16:10 652
川西IC 17:25 765
川西清和台 17:30 767


上高地トラック地図 

参加者 瀧井、清水 計2名

山行記録トップへ

「山があるクラブ・Ⅱ」 HOME