比良山系 蛇谷ヶ峰山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・Ⅱ」登山クラブ

山行記録

比良山系 蛇谷ヶ峰(901.7m)

2015年1月25日(日) 晴れ時々曇り
 今年の2度目の山行は今シーズン初の雪山として比良山系西北端の蛇谷ヶ峰となった。この山は比良山系と言いながら、独立峰に近く大きな山容を麓から見ることができる。標高も901.7mと決して高くはないが、若狭湾に近く積雪は多い。
 20062月に「いきものふれあいの里」から552m標点を経由して山頂に至ったことがある。山スキーで降りたのだが、尾根筋の路が狭く、かつ急でスキー板の取り回しに苦労し、ツボ足の人たちに遅れた記憶がある。今回は「いきものの里」の北600mの「グリーンパーク想い出の森」から別ルートで552m標点を経由して山頂に至るコースとした。 

大阪組の車は国道161号湖西道路の渋滞などがあり予定より25分遅れて集合地JR堅田駅に着いた。全員5名で途中(とちゅう)、花折峠、そして葛川(かつらがわ)を経由して朽木に向う。比良の裏を走る国道161号沿いの里には積雪もなく、数日前の雨で融けてしまったようだ。車は交通信号もない道を順調に走る。何軒もの鯖寿司の看板を掲げた店があり、さすが最も大きな鯖街道と納得する。

朽木ではいつもの道の駅「くつき新本陣」で休憩する。南井さんはここの売店に入り、鯖寿司を買って、昼食時皆に配るという。「ありがとうございます。」
 そこから5分、リゾート施設「グリーンパーク想い出の森」へ向う。駐車場は大きなグランドの東側にあり、温泉「てんくうの湯」もそばにある。

 東へ広い砂利道を歩いて行くと、左に蛇谷ヶ峰への登山路を示す案内標識(標高310m)があり、これにしたがって細い登山路に入る。すぐに雪路となる。やがて比良山遭難防止対策協議会の「蛇谷ヶ峰レスキューポイント(RP)3(410m)」の標識があり、すぐに右下に沢が見えてきて、石を飛んで対岸に渡る。

 ここからは急なジグザグの登りとなる。沢側は杉林の急斜面となってはるか下の谷まで落ち込んでいる。先行した人達の踏み跡が刻まれて助かる。標高450m辺では積雪も50cmに近くなり、時折、足元がどうかというところでアイゼンを着けたい人には装着してもらう。

「いきものふれあいの里」からの路が合流するRP4(552m)付近からは稜線を真っ直ぐ登るようになる。深い雪の稜線を登るのはいかにも雪山登山らしく気分がいい。ほとんど休みも取らず、より高いRP8(810m)をめざすが意外と遠く、さらに登り続けねばならなかった。ようやく先に着いていたパーティーが休んでいたRP8に着くと、そこからは朽木スキー場側に伸びている東北稜が正面に見える。そしてその右のゆるやかな盛り上がりが頂上らしい。標高差は約100m、もうすぐだ。時々陽がさしてまぶしい。

   
登山道入口    沢 
   
レスキューポイント4(552m)  いきものの里からのコース
が合流する
  レスキューポイント8(813m)

5分の休憩の後出発してまずは東北稜の分岐点をめざす。この分岐で進路は右に90度変わって約150m、標高差50mを登る。皆快調そのものだ。頂上は広々としていて、真ん中の山頂の標識と案内板はほとんど埋まっていた。この後岡村さんが持ってきたゾンデ棒をさして確認すると積雪120cm、さすがだ。標高差700mで積雪は0から120cm、一寸驚きだ。雪山初級訓練のツアーの団体だろうか、約20名ほどの若者達が休んでいた。

 まずはこの頂の360度の展望を楽しむ。南の比良、武奈ヶ岳(1214.4m)が最初に目に飛び込む。武奈ヶ岳の左のピークはコヤマノ岳(1181m)らしく、比良山第2の高峰蓬莱山(1196m)はこのコヤマノ岳に隠されて見えない。風もなく温かいのはいいが展望の視点からは靄っていたのは残念だった。

北の三重ヶ嶽(974m)も分かりやすいが、その左のふたつのピークはどちらが武奈ヶ岳(865m)か三十三間山(842m)かと議論になる。西北のピーク二つは百里ヶ岳(931m)と桜谷山(825m)らしい。西には芦生を囲む900m台の山々も見えるはずだが、雲が垂れ込めていて分からなかった。東南には岩阿砂利山(686.4m)などリトル比良が低い峰を連ねていた。そして安曇川が真っ直ぐ琵琶湖へと伸びていた。

 急ぐことはなく、のんびりコーヒーを沸かして昼食とする。早速南井さん差し入れの鯖寿司のご馳走になる。贅沢な味だ。
 団体さんは西側の林間斜面でピッケル横刺しの雪面登高訓練に入っていた。訓練と言えば頂上の東面は急な雪面があり、滑落停止訓練もできそうだ。ザイルもピツケルも車に置いてきたので、今回はその訓練はパスする。 


   
東北稜分岐点    山頂への最後の登り 
     
山頂から比良山武奈ヶ岳(1214.4m)    山頂~北方を見る 右の山は三重ヶ嶽 
     
山頂にて    20名近い団体 

帰路は往路をそのまま下る。ワカンを持ってきたメンバーはワカンを着けて下る。登山者が踏み荒らした路は少し歩きにくい。登りでは感じなかったが、下ってみるとかなりの急坂でしかも長い。
 500m地点でワカンを取り、アイゼンの人は沢を渡ったRP3で土も覘いてきたのでアイゼンをはずした。

すぐに登山口で、駐車場も近い。着いた駐車場は午後とあって温泉や遊びを楽しむ人達の多くの車で埋まっていた。

   
帰路に着く 東北稜が真っ直ぐ北に向いている。    ワカンの3名 レスキューポイント8付近で 
   
 レスキューポイント8付近でから山頂を振り返る

 車での帰りも367号線は気持ちよかったが、国道161号から堅田駅までは少し渋滞した。滋賀県勢2名と別れての湖西道路は今回もまた真野~大津間10km近く、約340分遅れる大渋滞に会ってしまった。 

 今回の山は登りも下りもスイスイ。雪路では岩や木の根等の障害物がないためある程度踏まれた路では夏路よりもスピーディーなこともあるが、今回もその通りだった。(清水) 

雑談 朽木の歴史
 朽木は京都から若狭方面に抜ける最短の街道筋にあたるため、古来話題になる出来事が多く知られている。
 京都から若狭へは現在、国道367号が八瀬、大原、途中、花折峠、葛川(かつらがわ)、朽木、今津、水坂(みさか)峠、熊川、そして若狭と続いている。このルートはいくつかある若狭と京都を結ぶ鯖街道の中で最も短く、峠も低く楽な道だったため。古くから若狭街道とも呼ばれて利用されていた。今も熊川は昔の宿場町の面影を残して訪ねる人も多い。 

 朽木はこの若狭街道の中間点にあたり、鎌倉時代から近江(宇多)源氏の佐々木氏(後の六角、京極氏)の一族が地頭として住まい、朽木氏を称した。特に南北朝期に足利尊氏に従い功績を挙げた結果、室町時代はずっと将軍の近臣として仕えた。
 弱い武力しか持たない足利将軍が敵に京都を攻められるといつも逃げ出す場所が朽木氏の治める朽木谷で、12代将軍義晴や13代将軍義輝(こちらは2回も)が避難した。
 また織田信長が越前の朝倉氏を攻めたとき、義兄弟の近江小谷城の浅井長政に背かれて命からがらこの朽木谷を通って京都へ逃げ帰ったという有名な話にも登場した。
 朽木氏はその後信長、秀吉に仕え、関ヶ原の戦いでは、東軍に内応して、家康に認められ、明治維新まで福知山3万石として残った。

道の駅の近くの興聖寺という寺には、その昔の旧秀隣寺庭園(別名足利庭園)があり、その室町期の石組み庭園は国指定の文化財となっている。(清水)

 

雑談 花折断層
 花折断層は宇治から伏見、吉田山、八瀬を通り、その北は国道367号に沿って今津まで続く見事に直線状となった全長58kmの活断層。
 1995年の神戸淡路大震災は淡路島北部の野島断層が動いたためだが、その時近畿の今後最も危ない活断層として有馬高槻活断層と花折断層があげられ注目されている。

有馬高槻活断層は1596年の慶長伏見大地震を起こし、伏見城が大きく壊れ、秀吉は大阪に逃げ帰った。花折断層はその北部が1662年に大地震を起したと疑われている。(清水)

参加者    会員5名(清水、市橋、岡村、白柳、南井)

コースタイム

JR堅田駅 8:55/9:00   歩行距離 7.47km
伊香立 ローソン 9:10/9:20   累積登高 751m
朽木 道の駅 新本陣 9:50/10:00   累積下降 751m
想い出の森(264m) 10:05/10:15  
登山道入口(310m) 10:30   歩行時間 3:30
レスキューポイントRP3(410m) 10:50   休憩時間 1:20
沢(465m) 10:55   4:50
ジグザグ登り450m地点 11:00/11:10      
RP4(552m) 11:25      
RP5(660m) 11:45      
RP8(813m) 12:10/12:15      
東北稜(870m) 12:25      
蛇谷ヶ峰山頂(901.7m) 12:35/13:25      
東北稜(870m)  13:30       
RP8(813m)   13:40/13:50      
RP5(660m)         
RP4(552m)         
ジグザグ登り500m地点  14:05/14:15       
沢(465m)  14:25       
レスキューポイントRP3(410m  14:30       
登山道入口(310m)  14:45       
想い出の森(264m)  15:05       
JR堅田駅  15:50      
         


 
2015.01.25 比良山系 蛇谷ヶ峰トラック地図 

この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。

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