石鎚山東稜の山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・U」登山クラブ

山行記録

石鎚山東稜

2012年5月12日(土)−13日(日)

5月12日(土) 曇り後快晴
 冷え込みのきつい朝、JR川西池田駅に予定の時刻に集合し、車で中国道宝塚ICへ。好天のはずだったが雲が多い。途中新人の安藤さんに運転をしてもらう。瀬戸大橋の朝の景色は平和そのものだ。船が行き交っている。このあたりから天気がよくなってきた。
 松山道を"いよ西条IC"で降り、新居浜のグループとの集合地、加茂川左岸のトリム公園に向かう。特に意識的な時間調整をしたわけではないが、予定時間の5分前に着き、待機していた住友化学愛媛登山部OB会の野中、徳増両氏と合流する。
 ここから国道194号を南下して、愛媛、高知県境の新寒風山トンネルを抜ける。1999年に完成したこのトンネルは旧トンネルが標高1120mの高さにあるのに比べ、550mと格段に高さが下がったため、東愛媛と高知の交通の便は随分と改善され、冬も往来ができるようになった。長さも5.4kmもある。
 トンネルを出てすぐ左に旧道があり、このヘアピンカーブの連続する道を旧トンネルの南口まで上がる。ここには売店や休憩のベンチもあり昼食とした。
 
 ここから1.5車線の瓶ヶ森林道に入るが、道は大きく南の稜線を巻きながら高度を上げ、尖った4ピークからなる伊予富士(1750)、東黒森山(1735)、自念子の頭(1702)そして西黒森山(1861)の南側をからみながら、瓶ヶ森の東の岩壁をトラバースして駐車場に着く。
 昔は笹ヶ峰(1860)から寒風山(1763)を経て瓶ヶ森への縦走は長い一日行程だった。最後の瓶ヶ森への急坂はそれこそ苦しみそのものだった。駐車場とその周辺はミズナラ等の落葉樹の林で、冬季は樹氷が美しいメルヒェンの世界だった。

 駐車場から少し上がると、30ヘクタールはある広大な笹の斜面が広がっている。氷見二千石原だ。この原を進み、旧県営ヒュッテの脇を通ってから、瓶ヶ森の最高点、女山へ向かう。背後の笹斜面の向こう正面に石鎚山がスクッと聳えている。丸く盛り上がった筒上山((1859)、そして高低差の無い頂稜の手箱山(1806)がその左に連なっている。手前には瓶ヶ森の付属峰である子持権現が尖った岩峰を突き立てている。女山の頂上で瀬戸内海、や四囲の山々を眺めて、稜線を男山に向かって下り、祠にお参りしてから駐車場へ降りた。

  
    瓶ヶ森氷見二千石原と石鎚山            瓶ヶ森氷見二千石原と石鎚山

 ここから子持権現の脇を通るとシラサ峠は近い。立派なペンションと思える"山荘シラサ"に着いて宿泊手続きを済ましてから、アケボノツツジの多い岩黒山へ行くこととした。土小屋まで車で約10分、そこから登山道を登る。上から降りてきた登山者から、今年は裏年のようで花も少なく、今朝の冷え込みで霧氷が着いて花が痛んでいるとの話を聞き、心配になった。しかし痛んでいるのは、稜線の北側だけで、南斜面の株は美しいピンクの花を咲かせていた。逆光に光る花は幻想的でもあった。

  
     岩黒山のアケボノツツジ               アケボノツツジ

 山荘に戻るともう一人の新居浜のメンバー、大賀さんが丁度来たところだった。朝出て、伊予富士に登り、趣味の野鳥の写真撮影をしてきたそうだ。
 宿の食事も洒落ていておいしくいただいた。山の話、野鳥のアルバム鑑賞等、尽きることなく話がはずんだ。

2012年5月13日(日) 晴れ後うす曇り
 日の出は5時20分頃ということで、皆楽しみにして、宿の前に出たが、東の空には薄い雲があって、空が多少赤く染まっただけに終わってしまった。
 6時から食事にして、予定の7時過ぎに宿を出て土小屋へ向かう。
 ここから石鎚山への道を行く。鶴ノ子ノ頭の手前からアケボノツツジが見られるようになる。白の法衣を着た行者が前後して歩いていて、時々吹く法螺貝が山中に響いていた。

  
 鶴ノ子ノ頭への登り路からの石鎚山のピーク    東稜矢筈岩 左が大きく右は小さい
 左から南尖峰、天狗岳そして弥山        この間の急傾斜の笹の中の踏み分けを登ってくる

 二の鎖あたりが見え、道が真っ直ぐ北壁の下を行くところに、丸太のベンチがある。注意しないと分からないが左に東稜への踏み跡がある。ここから東稜への登りが始まる。初めはシャクナゲの幹や枝が邪魔する踏み分けで、次いで笹が路を隠すようになる。潅木と笹の交じった路を抜けると急な笹の路となり、左右二つの突起した岩からなる矢筈岩のその両岩の間の笹の急な路を登る。上から見るとかなりの高度感だ。ここからは低潅木が付いた岩稜となる。踏み跡は痩せた岩稜の上や、左を足場を取りながら進むが、特に左側は急勾配の笹の斜面で滑り落ちれば数百米は止まることなく重大事故になることは必至だ。とにかく慎重にトラバースして行く。
 南尖峰の80〜100米下になると勾配はきつくなり70度に近い。しかしホールドや足場もあり、こちらの方が恐怖感はない。頂上直下、斜めのクラックはあるもののホールドが取りにくい岩があり、先に登った徳増、大賀の両氏に長さ2米のシュリンゲと3米ザイルを繋いで垂らしてもらい、上がれば、すぐ上が南尖峰の頂上(正しくはその東端)だった。

  
   1,850m付近から見上げた南尖峰             1,900m付近の登り 
   真ん中の少し右側を登る

  
     南尖峰頂上直下の岩場                南尖峰頂上直下の岩場 

 ここから有志は墓場尾根と大砲岩の見えるところまで南斜面を往復した。
 その後天狗岳、そして弥山へと頂をたどる。弥山に来ると大変な人数の登山者がいて渋谷や梅田の雑踏に踏み込んだ感じだった。ざっと60名はいる。ほとんどが若い人達だった。そしてさらに下から団体が登ってきている。
 中に一段と明るい雰囲気の女性主体の団体が集っている。聞けば愛媛県立大学のワンダーフォーゲル部とか。こちらが50年前のフォーゲラーと言うと友達のように喜んでくれた。この底抜けの明るさ、本当に若さとは素晴らしい。こうした明るい山の愛好者が増えて行って欲しいものだ。。

    
       弥山にて              弥山で出会った愛媛県立大のWV部の若者達
                         底抜けに明るくて気持ちいい

 ここで昼食にして、二の鎖に下る。
 何人かが見ている方向に目をやると、天狗岳の下の北壁を登っている2名のロッククライマーがいた。次のオーバーハングをどう乗り越すか思案中という感じだった。
 北壁の下の巻き路を通り、東稜分岐へ戻り、ここからは往路を土小屋へ戻り、今回の山行を終えた。シラサ峠で車を留め、昨年新装した避難小屋を見に行く。24名程度は楽に収容できる小屋で、ストーブ、トイレ等も子やの中に設置されていた。飲料用水はないが、これはポリタン等で持ち込めば十分に満足できる宿となる。
 16時40分に加茂川トリム公園に帰着して、新居浜の人達と互いの健康と活躍を願い別れた。たった1日半だったが、充実した日々を過ごせたというのが、全員の気持だった。
 今回新居浜の人達には宿泊、懇親会、そしてルート案内と大変お世話になりました。お礼申し上げます。またいつか四国の山を共に歩きたいものです。 (清水)。

参加者 6名(山があるクラブ・U会員2名 清水、市橋、入会希望者1名 安藤、住友化学愛媛登山部OB会3名 野中、徳増、大賀) 

コースタイム

12日(土)   13日(日)  
 JR川西池田駅  0km  07:20   シラサ峠  355  07:00
 宝塚IC  13  07:35  土小屋  361  07:15/07:25
 福石PA、豊浜SA 休憩    東稜分岐    08:45/08:55
 いよ西条IC  300  11:10  南尖峰    10:20/11:15
 加茂川トリム公園  306  11:25/11:35  天狗岳    11:25/11:30
 旧寒風山トンネル高知側口  323  12:15/12:45  弥山    11:50/12:15
 瓶ヶ森P  340  13:15/13:30  二ノ鎖    12:35/12:40
 瓶ヶ森女山    14:00/14:20  東稜分岐    13:10/13:20
 瓶ヶ森男山    14:45/15:00  土小屋  361  14:20/14:40
 瓶ヶ森P  340  15:20/15:25  シラサ峠  366  15:00/15:20
 シラサ峠  344  15:40/16:05  旧寒風山トンネル高知側口  387  16:00/16:10
 土小屋  349  16:15/16:20  加茂川トリム公園  404  16:40/16:50
 岩黒山八合目    17:00/17:10  いよ西条IC  409  17:15
 土小屋   349  17:35   豊浜SA、竜野西SA 休憩    
 シラサ峠   355  17:45  宝塚IC  696  21:00
       JR川西池田駅  709  21:20

歩行距離 瓶ヶ森2.5km、岩黒山1.5km、 石鎚山10.3km
累積標高 瓶ヶ森250m、岩黒山160m、石鎚山1,055m


  

     瓶ヶ森トラック地図                              石鎚山トラック地図



            石鎚山トラック詳細地図    
これらの背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。
         
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