伊吹山山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・Ⅱ」登山クラブ

山行記録

伊吹山(1377m) 

2013年8月18日(日)晴れ
 参加者はこのところの連日の猛暑のためか、夏山の疲れか、2名が体調不良ということで4名になってしまった。近鉄竹田駅で全員が集合して出発する。
 盆休みの最終日のためか、上り線はいつもよりも乗用車が多い。それでもさしたる渋滞もなく、関ヶ原ICまで行き、伊吹山ドライブウェーに入る。4月の伊吹山北尾根の時は今シーズン開通2日目とあって、利用料金は半額の1,500円だったが、今回はそうしたサプライズもない。

 ゲートで「途中、霧が出ているので注意してください。」と言われたが、確かに頂上付近はガスで霞んでいた。
 ざっと300台は入れそうな頂上の駐車場はまだスペースがあり、すんなり入ることができた。

 10時50分、いつもの通り西遊歩道から登り始める。日差しは結構強いものの気温は23℃程度。下には湖北の平野や低い山々が見える。今日は、先を急ぐ登山ではなく、のんびり山の花を楽しみ、勉強する形のハイキングなので、皆花の名や特徴を確認したり、写真に収めながらおもむろに登る。石灰岩とそのバラスの歩きにくい路だ。時々バスで来た団体がワッと通り過ぎて行く。
 西遊歩道に入ってすぐに気が付くのはイラクサによく似たアカソ(イラクサ科)が斜面の半分を占めていることだ。雑草ということではないが、この草が増え続けているのには困っているらしい。蕾の穂を出しているだけのフジテンニンソウ(シソ科)も多い。
 ここだけでも多くの花々を見ることができる。
 クガイソウ(ゴマノハグサ科)やルリトラノオ(ゴマノハグサ科)、グンナイフウロ(フウロソウ科)、ヒメフウロ(フウロソウ科)、イブキボウフウ(セリ科)、クサフジ(マメ科)、コイブキアザミ(キク科)、メタカラコウ(キク科)、アキノキリンソウ(キク科)、シモツケソウ(バラ科)そしてサラシナショウマ(キンポウゲ科)などなど。クガイソウやルリトラノオの色はなんとも素晴らしい。

   
 西遊歩道 右奥が駐車場 アカソの多いお花畑    クガイソウ(ゴマノハグサ科) 
次のルリトラノオに花は酷似しているが葉が輪生
していることから区別できる
   
 ルリトラノオ(ゴマノハグサ科) 葉は対生 伊吹
山全体ではクガイソウよりもルリトラノオの方が
多い
   メタカラコウ(キク科) 似た花にオタカラコウ
があるがひとつの花の花弁数が前者は2-3、後者は
5-7枚

 頂上近くなるとツリガネニンジン(キキョウ科)、ワレモコウ(バラ科)、ミツモトソウ(バラ科)、エゾフウロ(フウロソウ科)、イブキトリカブト(キンポウゲ科)、キオン(キク科)、キバナノカワラマツバ(アカネ科)も加わってくる。ミツモトソウというのはなじみない花だったが、花茎が3本に別れ、黄色い梅花様の花をつけている。

 
 キバナノカワラマツバ(アカネ科)    シモツケソウ(バラ科) 真夏の伊吹山の山頂を多
い尽くす 今回は盛りを過ぎていた 花はピンク
だが、散った後の花柄が赤い
 背後は北尾根の山々
 
シモツケソウ(バラ科)     サラシナショウマ(キンポウゲ科) 伊吹山の晩夏
を飾る花 まだ蕾の状態か、咲き出しだが、完全
に咲くと純白の花となり美しい 

 頂上は相変わらず多くの探勝者達で賑わっている。昼食とコーヒーを摂り、大和武尊像の前で記念撮影する。

 大和武尊(ヤマトタケル)像の下のロックガーデンに何種類かの伊吹山の花が栽植されていて、その中にイブキジャコウソウが小さなピンクの花を咲かせていた。7月頃が見頃だが、今は穂先にわずかに花をつけている状態だった。葉をつまむとショウノウに似た香りがして、花の名の由来を納得できた。

 頂上から東遊歩道へ向う稜線はシモツケソウ(バラ科)、イブキトリカブト(キンポウゲ科)、フジテンニンソウ(シソ科)、シシウド(セリ科)、カワラナデシコ(ナデシコ科)、ノリウツギ(ユキノシタ科)等が群生している。途中に「この先滑りやすいので軽装の方はご遠慮ください」との標識がある。確かに東遊歩道は通常の山路になり、軽装の人は多少危険である。

 東遊歩道ではサラシナショウマ(キンポウゲ科)、フジテンニンソウ(シソ科)、イブキトリカブト(キンポウゲ科)が多い。少し出口に近い潅木にツルニンジン(キキョウ科)がからまっている。昨年見つけたもので、よく注意しないと見逃してしまう。直径1-1.5cmの風船のような蕾をつけていた。咲くと紫の縞のある白い釣鐘状の花となる。出口近くにはマルバダケブキ(キク科)の群落があり、丁度見頃だった。

 駐車場着14時15分。シモツケソウには少し遅く、サラシナショウマには早いタイミングであったがゆったりした花の観賞会になった。

 
 東側稜線から見た伊吹山山頂    コオニユリ(ユリ科)とキアゲハ
 
 イブキトリカブト(キンポウゲ科)    マルバダケブキ(キク科)

 伊吹山ドライブウェーを出て、山麓の泉神社に向う。日本武尊(ヤマトタケル、倭建とも書く)が伊吹山の荒ぶる神を、征伐に行き、伊吹の神が化けた白い猪に逆に散々に痛めつけられて瀕死の状態でここまでたどり着き、そこに湧き出ている清水で傷を癒して助かったという伝説のある神社である。
 湧水は環境庁の指定した「日本百名水」にもなっている。年間平均水温12.5℃、pH7.5、湧出量450T/日と水質、量もその歴史にもひけをとらない泉だ。取水場には10数個の取水口があり、いつも多くの人がポリタン持参で来ている。
 この泉神社の後、もうひとつの「日本百名水」である醒ヶ井の「居醒の清水」に向う。加茂神社の下に湧く水が「居醒の清水」で、古事記ではヤマトタケルがその清水に着き身体を癒して気分が少し回復したので「居醒の清水」と呼ぶと書かれている。ここから流れ出る水が地蔵川となり、バイカモが生育していて、今はその花の時期ともなっている。水温もほぼ12-14℃程度で、清流にしか棲めないという絶滅危惧種、ハリヨ(トゲウオ科)が生息してると言う。清流に揺らぐ緑のバイカモと、水中や水面の白い花の涼しさ、そして流れにかぶさる百日紅の花の赤い色が印象的だった。 (清水)

   
 泉神社の湧水 (日本百名水)伊吹山の荒神に敗れ
た日本武尊(ヤマトタケル)がこの水で傷を癒したと
の伝説がある
   泉神社の湧水の取水場 いつも多くの人達がポリタン
持参で集まっている
 
 醒ヶ井 居醒の清水(日本百名水)から流れ出る地
蔵川
   地蔵川のバイカモが花をつけている 14℃程度の
流水にのみ生育できる藻 梅花に似た花を水中や、
水面につける
 絶滅危惧種ハリヨ(トゲウオ科)が棲む

参加者 会員3名(清水、市橋、白柳)、その他1名(市橋夫人)、計4名

コースタイム

川西 7:00   ドライブウエー入口 15:15
池田 7:20   泉神社 15:25/15:35
中国道豊中IC 7:30   醒ヶ井、居醒の水 15:50/16:00
京都南IC 8:00   米原IC 16:15
近鉄竹田駅西北口 8:10/8:30   草津PA 16:55/17:05
京都南IC 8:40   京都南IC 17:20
多賀SA   近鉄竹田駅西北口 17:30/17:35
関ヶ原IC 10:00   京都南IC 17:45
ドライブウエー入口 10:10   中国道豊中IC 18:10
頂上駐車場 10:40/10:50   池田 18:20
西遊歩道   川西 18:45
頂上 11:50/12:40      
東遊歩道      
頂上駐車場 14:15/14:40      


伊吹山ドライブウェー のホームページ (山頂のハイキング、花マップ)


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