紅葉の八甲田山の山行記録/関西の山の会会員募集「山があるクラブ・U」登山クラブ

山行記録

紅葉の八甲田山

2012年10月10日(水) 晴れ

 大館のホテルを朝早く出て、碇ヶ関ICへ向かう。途中の矢立峠は昔鉄道にSLが走っていた時代は日本3大急傾斜区間(25/1000、ちなみに旧信越線の碓氷峠は66.7/1000、ただしアプト式肥薩線矢岳峠は25/1000)として有名で、秋田側の陣場駅と青森側の碇ヶ関駅間にはD51機関車を3両繋いだ3重連が走っていたことで知られていた。今でもSLファンならその頃の映像が写っているDVDなどを大事に持っているに違いない。7号線の峠付近は大きな杉が両側に聳え、ひなびた温泉もいくつかあってとても感じがいい。碇ヶ関ICから東北道に入り、二つ目の黒石ICで降りて102号線、394号線で酸ヶ湯へ向かう。
 黒石周辺はリンゴの産地としてよく知られている。黒石市と青森市の境界の長い防雪フードのあたりが、昔南八甲田の横岳へ山スキーで登った時の登山口である。さらに行くと、深い城ヶ倉渓谷をまたぐ城ヶ倉大橋に出る。谷底まで122mあると言う。この橋を渡った正面のT字の奥によく山スキーのベースとして使った城ヶ倉山荘がある。こじんまりとしているが、きれいな山荘風の温泉ホテルである。ここを右に曲がって1.5km行くと目的地の酸ヶ湯に着いた。
 昨日買っていたコンビニ弁当の朝食を取り、早速酸ヶ湯旅館の左手の登山口から下毛無岱へと向かう。初めの登り坂を過ぎるとその後はほぼ水平路が約1km続く。
 小さな沢を渡り少し登るとハイマツの向うに黄褐色の草原が広がり、大岳(1584m)、井戸岳(1452m)、赤倉岳(1541m)、そして一段低く田茂萢岳(1324m)が右から左へ峰を連ねている。下毛無岱である。原には角材2本の路が整備されずっと先まで続いている。右手に南八甲田の主峰、櫛ヶ峰(1517m)や横岳(1339m)がそして振り返ると津軽の象徴、岩木山(1624m)が静かに、そして遠慮深く見えている。いつもこの山を見て、青森というか、津軽というか、本州の北端の地に来ていることに感慨を覚える。
 意外に風が強く、草もみじが波打っている。正面の大岳を入れた景色を撮影しようとすると、まともに陽が入り、この陽を左手でさえぎろうとするのに苦労する。

   
              登山口、酸ヶ湯                       下毛無岱と左から田茂萢岳、赤倉岳、井戸岳、大岳

   
   下毛無岱から南八甲田の櫛ヶ峰と横岳                 上毛無岱と左から田茂萢岳、赤倉岳、井戸岳、大岳

 下毛無岱を縦断すると上毛無岱との間に木製の長い階段があり、標高差50m近く登る。階段から下の下毛無岱の湿原がよく見える。
 湿原の東の端からは潅木帯になり、小沢の脇に田茂萢岳ロープウェーへの標識があり、路が分かれている。
 ここから約30分登ると大岳のコルとヒュッテ(避難小屋)に着いた。この小屋は二階建ての立派なログハウスで、昔利用した頃から少しも古くなっていない。仙人岱方面から登ってきた人も含め4,5人の登山者が休んでいたが、私も菓子パンを取るなどして小休憩した。
 コルから大岳頂上まで強い東風を受けて登る。頂上はさらに強い風で真っ直ぐ立っていられないほどである。山スキーで来た時も吹雪とクラストした雪の急な斜面でスキー板を途中デポして登ったのを思い出した。東側に浅い火口があるが、すぐにガスで隠れてしまった。早々にコルへ引き返す。
 コルから井戸岳への登りは路の崩壊が進んでいるため、丸太の階段と柵のジグザク路を行く。この頃からロープウェーを利用して赤倉岳、井戸岳を縦走してきた団体客に会うようになる。井戸岳は浅い池がある火口の東の稜線をたどる。ここから赤倉岳を過ぎるまでは、登り降りもなく楽な路である。赤倉岳はその奈の通り、路も崖も赤い。、小さな火口湖の西を抜けるとその先右ににさらに大きな赤い崩壊壁が東北に開いている。形はクレーターにはなっていないがこれも噴火口跡である。この稜線の小高いところに祠が祭られている。
 晴れ間はなくなり、西側のみ両毛無岱や岩木山、そして、田茂萢岳ロープウェー駅やその東の湿原、青森市街とむつ湾を望むことができた。ここからずっとハイマツの中の路を下る。ロープウェーへ出るか、上毛無岱へ出るか判断に迷っていたが、稜線の完走ということでロープウェーへ向かうこととして上毛無岱への分岐を通り過ぎる。すると向うから女性2人のパーティーが来て「、ロープウェーはもうすぐ止まりますよ。急げば間に合いますよ。」と言う。強いてロープウェーに乗りたいわけでないので、毛無岱へ降ることとする。気持も吹っ切れた。
 上毛無岱への路は利用者も少ないので、これまでの路に比べ若干悪く。距離もある。

   
      大岳からコル避難小屋、井戸岳と赤倉岳            井戸岳から見た雛岳(1240)と高田大岳(1552)

 上毛無岱へ着く頃にはまた天気もよくなってきた。明るい草もみじが広がり、ところどころカエデやナナカマドが彩りを添えている。丁度昼時なので原の中央の木製の広場で昼食とした。登山客も増えて木道を行き交っていた。
 昼食を終えて、往路にも通った下毛無岱への階段に来ると下に下毛無岱が朝とは違ってより鮮やか彩りを見せている。何枚も写真を撮る。また階段を下りてすぐ、振り返ると上、下両毛無岱を分ける斜面が赤、黄、緑と素晴らしい綾錦になっている。朝は全くの逆光で暗くて全く気が付かなかったか、今は本当に美しい。ここでも何回もシャッターを切った。そして草もみじそして周りの山々の写真を取りながら木道を下る。

   
                上毛無岱                           上毛無岱から見た下毛無岱        

   
       下毛無岱と上毛無岱を分ける斜面の紅葉              下毛無岱と南八甲田、櫛ヶ峰

 下毛無岱を過ぎると見所もなく、どんどん酸ヶ湯へ急いだ。
 酸ヶ湯では有名な千人風呂も以前何回か経験しているので、今回はパスする。行ってみたい、できれば泊まってみたい津軽半島の北端、竜飛崎の温泉ホテルに電話すると今夜宿泊できると言うので予約する。土産物を見てから、出発する。
 130km余、3時間の道であったが、日本海に沈む赤い夕陽や、岬手前の海岸から標高400mを越えるへアピンカーブが20個を越える峠などいい見所もあった。、

参加者 清水 

コースタイム

10月8日(月)      
 大館 380km  05:30     分岐    11:30/11:40
 碇ヶ関IC  0    上毛無岱    12:15/12:30
 黒石IC      下毛無岱    12:50/13:00
 酸ヶ湯 437 07:05/07:35:    酸ヶ湯 437   13:40/14:10
 下毛無岱   08:30/08:35    黒石IC  
 上毛無岱 09:00    浪岡IC  
 大岳鞍部、大岳ヒッュッテ 09:35/09:50    五所川原  
 大岳 10:10/10:15    竜飛崎 570km  17:10
 大岳鞍部、大岳ヒッュッテ   10:35/10:40      
 井戸岳   10:55    
 赤倉岳   11:05    

歩行距離 10月10日 酸ヶ湯〜大岳〜赤倉岳〜酸ヶ湯 13.59km、
累積標高 930m


  
                           八甲田山トラック地図
この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。
         
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